新天地
レドクスは目を覚ました。やけに広い、そして暗い場所で。明らかに群体船の中ではない。
「キュステア?ヴィーチェ?」
呼びかけてみるが、返答はない。全身がズキズキと痛んだ。
「何故……?そして、ここは……」
一度来たことがある。ここは地上だ。では、なぜここに?踏み出した足の下、ぐじゃりと湿った音が響いた。ところどころ黒く焦げたピンクの肉塊は、群体船の壁と同じ色だった。
「そうか……船が落ちたか。キュステアは……ヴィーチェは無事だろうか……?」
足を引きずりながら、レドクスは歩き出す。
「待ちな。」
敵意を含んだ声に彼が振り向くと、そこには銀色の戦士が二人立っていた。
「何だ……貴様らは?悪いが今は貴様らの相手をしている暇はない」
「こっちにはあるんだよ!」
右にいた戦士が何かを投擲する。
レドクスはそれをはたき落とす──ごおん、と金属音がゴングのように響き渡る──同時にもう片方の戦士は踏み込み、疾走の勢いを乗せた飛び蹴りを放った。
「くつ……ぬかったか……」
レドクスは受け身を取り切れず、地面に転がった。口からは緑の血が一筋流れる。内臓に損傷があるかもしれない。ヴォイドの再生能力があろうと、何度も喰らえば致命傷になりうる。
「どうだ!ハイオクの俺は無敵だ!」
レドクスを蹴りつけたヒーロー──オクターは自慢げに胸を張った。




