墜落
数分後、キュステアの周囲にはヴォイドの死骸が折り重なっていた。
「ごめんね、きっとこの人たち、ニルニの友達だったんだよね。でもこうしなきゃ……私達が死んでた」
ぽつぽつと噛み潰すように言うキュステアを、震える足で立ち上がったニルニはそっと抱きしめた。
ニルニは何も言わなかった。キュステアは彼女に寄りかかり、目を閉じ──突然、地面が揺れた。
「な、何?」
「まさか……ニルニ、気をつけて。この船は──」
群体船の中枢、赤茶けた肌のヴォイド、チトゥリはほくそ笑んでいた。
──囮のヴォイドたちは良い仕事をした。彼らがいなければ、レドクスたちに阻まれたどり着けなかっただろう。
チトゥリは船を地球に接近させた。重力圏に捉えられた船は、斥力を発生させ空中に留まろうとする。中枢部の壁に埋まった青い球体が光る──これが斥力を発生させているのだ。
「これが……我が種族のための─!」
彼は斥力を発生させ続けている青い玉を殴りつけ、叩き割る。船が揺れる。重力は完成に船を捕らえた。落下、その速度はだんだんと早まり──
群体船は大気との摩擦で焼け、ジリジリと音を立て焦げながら地上へと落下していった。




