表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
227/245

 「あ、あのね、キュステア……ちゃん?」

群体船の廊下、ニルニはキュステアを見つけ、おずおずと話しかけた。

「誰?」

キュステアは首をかしげる。

「あ、ごめんね。私、ニルニって言うの。ちょっと話したくて……」

「いいよ。話し合いでいなくて退屈してたから。」

「そ、そう。よかった。えっと……あなたのお父さんとお母さんに伝えてほしいことが……」

そう言いかけて、ニルニは気がついた。キュステアがとても悲しそうな顔をしたことに。

──私……自分勝手だ。こんなふうに、この子の気持ちも考えずに、利用しようとして……

「あ、ううん。なんでもないの。あなたが地上に行ったって噂で聞いたんだ。どんなところだった?」

取り繕うように、ニルニは話題を変えた。

「地上?楽しかったよ!例えばね……」

 キュステアの顔がぱっと明るくなり、せきを切ったように話し始めた。


 「今度、ニルニも連れてってあげるね!」 

数十分に渡り、キュステア地上の思い出に相槌を打ち続けたニルニは、彼女と手を振って別れた。

──遠回りだけど、いいんだ。あの子が笑顔じゃなきゃ、例え滅びを免れたって……

ニルニは拳を握りしめた。遠くで落胆の溜息をついた誰かがいたが、彼女はそれに気が付かなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ