会議
「あの!」
進まないヴォイドたちの会議に一石を投じたのは、ひときわ背の低い女性型ヴォイドだった。
「どうした、ニルニ?」
ヴォイドの一人が彼女に問う。
「話し合いじゃ、だめなんでしょうか。私達はこのまま滅びたくない。だから地球に……って」
そうらニルニと呼ばれたヴォイドは言う。
「話し合いでどうにかなる相手ではあるまい」
「相手はヴォイドの王、レドクスだ」
「それにヴォイドの女王、ヴィーチェ……話し合いの壇上に上がることすら……」
ヴォイドたちはどよめく。
「そうじゃありません。話すべきは──彼らの子供、キュステアです。」
小さな彼女の声は澄んでいて、彼らのいる部屋によく響いた。
「何故?」
「そんなことをする必要はないだろう。彼女は大した権力を持っていないはずだ」
他のヴォイドのうち数名から声が上がった。
「本当なら必要無いんです。私達には。本当なら、こんなふうに会議をやる必要もない──でも、今はきっとやらなきゃいけないんです。不便でも、それが私達に課せられた運命」
「して、交渉役は?」
「私がやります。言い出しっぺですから」
「では会議はいったん開きとしようか。頼んだぞ、ニルニ」
ヴォイドたちは部屋を出て、思い思いの場所に散らばっていった。




