はごたえ
数多の刃は不定形の異形と化したイドスとともに地面を、木を切り裂き──土埃を舞わせる。
「こんだけやっても──ノーダメージか!」
イドスはうじゅるうじゅると切り裂かれた体を再生させ、またフェイラームと対峙する。
「歯ごたえがない相手だ……喰らうにも値しない……」
「なんか喋ったと思ったらそれかよ!もっとなんか面白いこと言えよ、なっ!」
フェイラームは喋りながらもイドスの首を落とす──が、その首は一瞬にして繋がった。
「あーもう!刃ごたえのないやつめ!とっとと死に晒せ!」
「効かぬのだよ、その程度……次はこちらからいこうか」
イドスが伸ばした毒牙は、フェイラームに両断される。
「そんな見え透いたてに引っかかるほどアホじゃないぞ!」
「ぎりぎりだけどね。」
「そこ、黙って見てろ!」
プラーガの野次に言い返すフェイラームの隙をイドスは見逃さなかった──はずだった。
伸ばした毒牙は、いつの間にかみじん切りにされていた。
「効かないって。まあ、このままじゃ千日手だな。面倒だなぁ」
フェイラームはけだるげに言い、プラーガの方をちらりと見た。プラーガはやれやれというように両手を広げ首を左右に振った。