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自己嫌悪

 アパート前。「お疲れ!どうだったよ?……あー、その顔だとだめだったみてぇだな。大丈夫大丈夫、次があるさ。」

鼠島は憔悴しきったシオンを励ます。

「ああ……だといいな。」

その声に振り向くこともなく、シオンは帰宅し布団も敷かず床に倒れ込む。


 「結局俺はいつもこうなんだよな。何やってもどっかでうまくいかない。いつだってうまくいくために必要なものが何なのか気づけないんだ。」

うつ伏せで誰に言うとでもなく呟くが、結局何をすればうまく行ったのかもわからない。

「ヒーロー失格?ははっ、ヒーローどころじゃない。人間としても何一つうまく行ってやしない。」


 ただ敵に逃げられただけ。それだけのことがシオンのしがみついていた足場を、なんとか立ち直っていた心を崩し、へし折った。

くだらないと自分でもわかっている。落ち込むことではないということも。

それでも自己嫌悪は抑えられない。

シオンはチェンジャーを無造作に放り投げた。

『ああ!精密機器なのに!』と聞こえた気がしたが、相手にする元気もなかった。


 翌朝。寝不足と消沈によりゾンビのような顔になったシオンは、それでも朝のジョギングのために家を出た。

「はぁ……はぁ……」

がむしゃらに走り、息が上がる。

確かに数ヶ月前より体力は上がった。

強くもなれたと思う。

だがそれでは足りなかった。

だからあんな格好悪い敵の逃し方をしてしまった。

まだ足りない。でも何が?


 「おっ、無資格じゃん。メロスみたいな顔してどうしたんだよ。」

「はぁ……そうだ……どうせ俺なんて何しても失格なんだ……って、どちら様ですか?」

ネガティブな言葉を吐きながら顔をあげたシオンの前にいたのは、黒のジャージを着た若い女だった。

肩までで切り揃えた黒髪の先端5センチほどだけ金色に染まっている。プリンヘアーと言うやつ……にしてはカラメル部分が多い。

「あ、そういやこの姿でおまえに会うの初めてじゃん。ビップ・ザ・スターこと 稲水いなみ 貴星きき。改めてよろしく!」

貴星はビシッと決めポーズを決めると、シオンに右手を差し出した。




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