飲み
「お前……そこまでアホだったのか?」
居酒屋の少し薄暗い店内。蒼は烏龍ハイのグラスを手に、呆れた顔でシオンを見つめた。
酒の飲めないシオンはいつもより少し苦味の強いトニックウォーターをすすった。
なんとなく胸がもやもやしてなんとなく蒼を飲みに誘ったはいいが、案の定というかアホと言われてしまった。
「いや……なんか、あそこで戦っちゃだめな気がしてさ」
「いいも悪いも無いだろ、俺達の存続が……」
「それでもだ」
「はぁ……いいか?お前はたしかにヒーローだ。けどな。いつでもどこでも、誰にでもヒーローやってちゃ見が持たねぇ。現に今人類は滅びから逃れるチャンスを一つ失ったわけだしな」
「いや……あいつは……なんか今までのとは違った。少なくともそう信じてる」
シオンは緑の侵略者──レドクスを思い出した。
正々堂々とした態度。いつか必ず敵として戦わなくてはならない相手と、もう一度会ってみたいと彼もまた考えていた。
「まあ、お前が馬鹿やるなら俺もそれに乗るぜ。友達だしな。」
「ありがとう。お前も大概だな」
「当たり前だろ。じゃなかったら怪人なんてやってなかったさ」
蒼はウーロンハイを飲み干し、おかわりを注文した。