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矛盾
「帰ったぞ、ヴィーチェ」
「ママ、ただいま!」
群体船。キュステアを抱え、レドクスは帰還した。
心配そうに駆け寄ったヴィーチェは、床に降ろされたキュステアに駆け寄り、抱きしめる。
「おかえりなさい、無事で良かった……人間たちに、怖いことされなかった?」
「大丈夫。みんないい人だったよ。シオンにも会えた。」
レドクスはあの緑の戦士を思い出した。いずれ彼とは戦うことになるだろう。だが、同時に彼ともっと話してみたいと思っていた。
「すまないな、ヴィーチェ。我の落ち度だ」
「いいの。次は3人で遊びに行きましょうね」
「そうだな。それがいい」
──自分たちは侵略者で、いずれあの星を滅ぼす。それでも、その日まではあの星を好きでいるだろう。だから──
レドクスは胸の奥の矛盾から目を反らすように、キュステアの方を向いた。
「キュステア、次から地球に行きたいのなら我とヴィーチェにも伝えてくれ。そうすればお前についていく。3人であの青い星を見て回ろう」
「わかった!」
溌剌とした笑顔で、キュステアは言った。