頼み事
翌朝、シオンは目覚めると久々に4自衛を開きスレッドを立てた。
[俺、ヒーローやってるけど質問ある?]
スレッドには誰も書き込まず、シオンはため息をついてタブを閉じた。
世の中ヒーローに対して割と無関心なようだ。
「なんか朝飯のものあったかな……」
シオンは冷蔵庫を探す。
もやしと鶏肉があったので炒めものを作って食べる。
ヒーローになってから、だいぶ食生活を改めた。
隣人に奪われてからカップ麺を買ってない。
いい傾向だ。多分。
朝食後のジョギングを終え、帰宅したシオンにさてらいとからメールが届いていた。
[怪人を作ってる組織を探るために、ハンドルギアの申込みハガキに応募してみてくれないかな。]
面倒だな。
そうだ、鼠島に頼めばいいか。
シオンはポストに行き、中身を確認する。
[あなたのお悩み、無料で解決!ハンドルギアのモニターになりませんか?]と書かれたハガキ。これか。
そのまま鼠島の部屋の前に。
ドアのチャイムは鳴らない。壊れているのか。
何度かドアを叩くと鍵が開きハゲた中年、鼠島が顔を出した。
「おう、おはよう兄ちゃん!今日はどうしたよ?手裏剣が入用かい?」
「手裏剣はいい。ちょっと頼みたいことがある。」
シオンは事情を説明し、鼠島にはがきを渡した。
「いいぜ!俺なら疑われることもないだろうしな。それに人の頼みを聞くってのは割と気分がいいもんだ。」
予想外に、鼠島は二つ返事で引き受けてくれた。
アホだが、見た目によらずいいやつなのかもなとシオンは少し彼を見直した。