それから
雷斗たちとの戦いが終わってから一週間が経った。
あれから大きな事故も事件もなく、ヴォイドやその他の敵の襲撃もなく、平和な日々が続いていた。
バイトのヒーローショーも盛況だ。数年前に潰れた廃劇場を改装してヒーローショーの舞台にしようかという計画が進行しているのを見るあたり、資金にもそこそこ余裕が出てきたようだ。
シャッター街だった通りにも、新しい店が次々と出店してきていた。
多くは流行りのスイーツやドリンクの店なため長続きするかどうかは少し不安だが、今のところヒーローショーの前後には、どの店にも行列ができているためしばらくは安泰だろう。
子どもたちが緑のソフビ人形を手に持って遊んでいる姿を見る回数も増えた。街のあちらこちらで売っているので、ここのところ数日は見かけていない瞬間のほうが少ないかもしれない。
製作者の老人はお面の金型の制作に取り掛かっているらしい。金型代を回収できたのだろうか。
そういえば、夜雲はまだ帰ってこない。彼には彼の事情があるのだろうとシオンは心配していなかったが、「今日も帰ってこねえな、あいつ……」と悲しそうに呟く蒼を見るのが辛いのでなるべく早く帰ってきてほしいなと思っていた。
タタラも想いは同じらしく、メッセージアプリで
「最近蒼が寂しそうだけど何かできることってないかな」と相談が来たのでシオンは、「なるべく一緒にいてあげるといいんじゃないかな」と返信したがどうなったのかはまだわからない。
そんな日々の中に、ある日突然その出会いは訪れた。