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逃亡
『フィニッシュムーブ!ヴァニッシュインパクト!』
チェンジャーから鳴り響く声とともに黄金の光を放つ拳が、キュクロプスの装甲を打ち砕き──爆発が起きる。
「が、ああ…っ……」
キュクロプスの腕についたアンプリフェクション・ギアがひび割れ、ガラスのように砕け散った。
砕けた装甲は光に包まれて消え、後に残ったのは人間の姿に戻った雷斗だ。
その腕のチェンジャーが煙を上げ、ぽんっ、と爆ぜた。
「私の負けか……しかし安心したよ、君はまだ人間を失っていない。」
「どういう……」
「進化の道は未だ閉ざされなかった、ということだよ。では私はこれで──」
「みすみす逃がすと思うか?」
「だろうね。だが悲しいかな、君では私に追いつけないよ」
雷斗の輪郭がぼやけ──次の瞬間雷の怪人、ジェニュインボルトに姿を変える。
「またいつか会う日まで、息災を願っているよ」
バチッ、と電流の音を立て、ジェニュインボルトは消えた。