179/245
電
外に出たシオンたちに、上空から声が聞こえた。
「何たる体たらくだ、力を蓄えて戻って来たというのに、獲物は情けない姿に戻ってしまっているとはね?」
空中に浮かぶ声の主はキュクロプス──アクアマリンのように澄んでいた装甲は、電流を帯び、光り輝いていた。
空一面を黒い雷雲が覆い尽くし、周囲は夜のような暗さ──キュクロプスだけが、唯一の光源と言っても過言ではない。
「蓄えた──まさか、変電所を……?」
さてらいとは呟く。
「人形風情の割になかなか鋭いじゃないか。少し見直したよ」
キュクロプスは悠然と返答した。
「この暗さは……まさか……」
タタラの不安を裏打ちするように、キュクロプスは答える。
「そう、この街すべての電力を頂いたよ。復旧までには時間が必要だろうね。だがこれは人類の進化のために必要な──」
「黙れよ。お前の声は──言い訳がましい言葉は……もう聞き飽きた!」
蒼は変身し、跳躍してキュクロプスに殴りかかった。