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円団

 「──────────!!!」

耳障りな叫びと共に、狂戦士は黄金に輝く正拳突きをロムルスに放つ──が、数センチ手前で、その拳はぴたりと止まった。

「─────………」

「ああ、そうか。シオン。お前も戦ってるんだな。」

「──………………」

狂戦士は拳を突き出したまま、石像のように動かなくなった。

「終わりにしよう。これで──終わったらよ、飯でも食って帰ろうぜ。」

動かない狂戦士に近づきながら、ロムルスはフォームチェンジ・ギアを装填する。

『フォームチェンジ!フレイム!』

紺の装甲が真っ赤に染め上げられ、炎を思わせる橙色の紋様が全身を彩った。

ロムルスはチェンジャーを操作する。

『フィニッシュムーブ!フレイムナックル!』

チェンジャーが発する勇ましい声と共にロムルスの両腕が真紅の炎に包まれ──

「………………」

「うおおおおおおおっ!」

獣のような雄叫びと共に振るわれた拳は、ジェット噴射のような軌跡を空中に残しながら、狂戦士を吹っ飛ばした。狂戦士は地面に後ろ向きに倒れ──爆発。

炎と煙が収まると、そこにはシオンが倒れていた。

「くっ……俺は……何を……?」

「なんでもねえよ。帰ろうぜ。作戦はいまいちうまく行かなかったけどよ。みんな無事だっただけで儲けもんだ」

蒼は変身を解除し、シオンに近づくと手を差し伸べた。

「立てるか?」

「ああ……大丈夫。ありがとう」

シオンは蒼の手を取り、立ち上がる。背後から誰かの足音が聞こえた。

「あの……皆さん。私を──私達を忘れてませんか……?」

と、背後かの通路から現れた足音の主は見慣れない戦士。悪魔のような、あるいは吸血鬼のようにも姿にも見えるその姿にはしかし、全員どこか見覚えがあるような──

「まさかその姿……夜雲?」

シオンが指を指すと、悪魔のような戦士は頷いた。

「いろいろありましてね……ともかくこれで人間の姿は取り戻しましたよ」

と、夜雲も変身を解除した。シオンたちがはじめて見る彼の顔は白髪に黒のラインが数本入った、白虎のような髪と、ほどほどに整った顔立ちだった。

「それは何よりだ。帰ろうぜ。反省会と打ち上げだ。」

蒼は夜雲を手招きした。

昼前だというのに空が真っ黒なことに、この時はまだ誰も気づいてはいなかった。

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