ヒビ
『アンプリフェクション……』
禍々しい声がチェンジャーから流れ、アンプリフェクション・ギアは火花を散らしながら回転する。
「うおおおおおおおっ!」
瞬間移動のような高速移動とともに、ロムルスは正拳突きを繰り出した。
狂戦士の身体能力ですら回避の間にあわない速度──両腕を交差させたガードの上から、体重と速度を乗せた拳が殴りつける。
ビシィ、と枝が折れるような音と共に、煤けた装甲のヒビがさらに広がった。
「この力なら──」
ロムルスは追撃をしようとしたが、突如目眩に襲われ膝をつく。
「────────!」
狂戦士はそれを見逃すはずもなく、踵落としを──
「甘いんだよ!」
ロムルスは迫る足首を掴み、膝をついたまま振り向くように上体を回転させ、一本背負いのように狂戦士を地面に叩きつけた。
「──────」
「俺は──自分を失わねぇ!もっとだ………もっと寄越せ!」
ロムルスは無理やり立ち上がり、身を起こそうとした狂戦士を蹴り飛ばす。
狂戦士は空中で体をひねり、壁に足をついて衝撃を殺し、着地した。
その装甲のヒビは、先程よりまた少し広がっていた。
「──────!」
「うるせぇ、とっとと返せよ、俺の友達を!」
ロムルスは殴りかかる狂戦士の顎に拳を突き上げる。さらに装甲のヒビが広がった。