プラテナ
「───────────!」
耳をつんざく絶叫、鋭く巨大な爪がビップに襲い掛かる──
「そんなもの!」
ビップは左手の銃の引き金を引く──狂戦士の腕に命中した光弾はその速度を鈍らせ、反動を使ってビップは回避。床に爪の形が穿たれた。
深く床に食い込んだ爪を引き抜くその一瞬の隙を、ビップは逃さなかった。
「今だ!」
『フィニッシュムーブ!』
飛び上がり、前に構えた二丁の銃、その銃口に巨光が集まり、巨大な光の玉になっていく。
「帰ってこい、シオン!」
『バースト・レイ!』
光の玉は光線と化し、狂戦士に届く──爆発が起きる──が、狂戦士は動じた様子もなかった。
「出力不足……か……!なら!」
ビップは駆け出し、チェンジャーのレバーを
引く──いや、引けなかった。
「え?」
ビップ──キキの視界がぐらりと揺れ、膝をつく。
「くそ、まだ本調子には戻ってないか……悪いね、シオン……あんたのこと……助けられなくて──」
「──────────!」
狂戦士は咆哮する。
「させない!」
プラテナの矢が狂戦士の足を止める。が。
「──────────!」
狂戦士は狙いを変える。銀色の戦士は華奢で、だが厄介だ。先に倒しておこう──とでもいうように。
飛びかかる狂戦士──プラテナは再び光の矢を放つが、装甲に弾かれたそれは地面に落ち、霧消していく。
「力を!」
『ストレングス!』
プラテナの全身に隈取のような紋様が浮かび、狂戦士の爪を受け止め──受け流す。
「……!やはり、受け止めきれない……けど!」
プラテナは光の矢を放つ。から少し逸れた矢は幾百に分裂し──合体し巨大な一つの矢になり、軌道を変えた。
「これなら!」
「─────────!」
怪物は振り向くこともなく、背後に迫った光の矢を足で絡め取り、踏みつける。
輝きを失った光の矢は霧のように溶け、消えた。