零点
「なんだい、こいつは……?」
サテライトを庇うように立ち塞がり、狂戦士の拳を片手で受け止めたのはキキ──ビップ・ザ・スターだった。
「キキ……すまない。僕のせいで、シオンが──」
「ああ、こいつ赤点か。今は零点だな、こんな風に暴走して!」
そう言うと、ビップはもう片方の手に握る銃を躊躇なくぶっ放した。
砲声とともに狂戦士は仰け反り──無理矢理体幹で体勢を戻し、殴りつける。
キキはその攻撃を受け流し──狂戦士は。ふわりと投げ飛ばされ、地面に叩きつけられる。
「目ぇ覚ませ!あんたは……そんなに弱くないだろうが!」
「私も、援護を!」
遅れて来たプラテナが弓を引き絞り──
「あんたは後ろで見てな、タタラちゃん!これはあたしと──出来の悪い弟子の──こいつの問題だ!」
「また、一人で──」
「心配してくれてありがとうね。でもこれで最後だ、意地の一つくらいは──譲れない!」
「……わかった。でも無理はしないで。まだ毒が完全に消えたわけじゃない」
プラテナは弓を下ろす。
「ああ──わかってるさ。さて、と」
バネ仕掛けのように立ち上がる狂戦士を見据え、ビップは銃を構える。
「水入らずだね、馬鹿弟子。叩き起こしてやるから、覚悟しな!」
「────────!」
咆哮、突撃。キキは体勢を低め飛びかかる狂戦士の下に潜り込むと、蹴り上げる。
狂戦士は天井に叩きつけられ、さらに大穴は広がった。
「────────!」
着地、また咆哮。その声はどこか泣いているようにも聞こえた。
「大丈夫──あたしが、助けてやるから……!」
ビップは両手の銃のグリップを強く握り締めた。