狂戦士
「危うかったね……今の彼と戦うには、もう少し力が必要だ……なれば……」
空中に浮かび、キュクロプスは目指す場所へと向かう。一時的にでも良い、圧倒的な力を手にするために。
「────────!」
敵を見失った狂戦士は周囲を見回し──さてらいとを見る。
「シオン?まさか──」
その声は届かない。狂戦士は飛びかかり──サテライトは最後の力を振り絞り、飛び退って回避。地面に大穴が穿たれた。
「シオン!僕だ!サテライトだ!わからないのか?」
「──────────!」
形容し難い、悲鳴のような声を上げ、サテライトに殴りかかる。回避──空を切った拳は勢いを失わず、壁に穴を穿った。
「最悪の状況だ……因果応報、か……」
壁の穴を視界の端に捉え、さてらいとは呟く。
──敵の親玉は逃げ、シオンは暴走、こっちは満身創痍。今の僕にできることは……考えろ、何か……
攻撃を回避しながら、さてらいとは思考を続ける。
しかし、低くなった出力で、できることはあまりにも少ない。
──これじゃあ、あいつの言ったとおり……ただの糸じかけの人形じゃないか……
度重なる攻撃に歪んだ床に足を取られ、さてらいとは躓き、転ぶ。
「─────────!」
狂戦士の拳が、迫る。