キュクロプス
「終わりにしてあげよう……変身!」
ジェニュインボルトは変身装置を腕に付け、レバーを引く。
『The glory of evolution! キュクロプス……!』
雷鳴、そして荘厳な変身音声とともに、ジェニュインボルトに稲光が降り注ぐ。
一瞬の後に現れたのは、一つ目のようにも見える円形のバイザーに、目のような紋様を浮かばせた、ひょろ長いシルエットとアクアマリンような澄んだ装甲を持つ戦士。
「これで形勢逆転だね、ヒーローごっこくん?」
シオン──いや、シオンだった狂戦士に幾千の雷が襲いかかり──狂戦士はそのすべてをまともに食らう。
「ははは、呆気ないね!さて、遺伝子サンプルの一つでも残っていればいいのだけれどね。黒焦げの炭になっていなければ──?」
いない。一秒前にはそこにいたはずの狂戦士の姿はどこにも───
「─────────!」
「また、後ろか!そうそう同じ手は何度も──!」
雷電の速度で振り向き、キュクロプスは左手で飛び蹴りを受け止め──その装甲が飴細工のように割れた。
「何っ……!?」
「───────────!」
地面に両手をつき、体勢を低めて着地した狂戦士は、流れるようにキュクロプスを蹴り上げる。
「ぐう……っ!」
また装甲が割れ、地面にキラキラと輝きながら落ちる。
キュクロプスは天井に叩きつけられ、天井には大穴が穿たれた。
「しめた……形勢が悪いのでね、撤退させて貰うよ……!」
キュクロプスは宙を舞い、天井の大穴から空へ消えていった。