ジェニュインボルト
「やあ、遅かったね、待っていたよ」
扉の奥、無数のクローン怪人と共に待ち構えていたのはフレイムボルト──いや、似ているが──
「ああ、この姿で会ったのは初めてだね。では、はじめまして、としておこうか。私は、そうだな……ジェニュインボルト、とでも呼んでもらおうかな」
雷を纏った骸骨のような怪人は、フレイムボルトと同じ声で言う。
「お前みたいなのに待たれてもあんま嬉しくないな、はやいとこぶちのめして色々聞き出してやる。」
「ほう、大した自信だね。それに免じていいことを教えてあげよう。情報を漏らした裏切り者が誰か、知りたくないかい?」
「どうでもいい話だ。さてらいと、合わせてくれるか?」
「やれるだけやるよ」
シオンとサテライトは構える──が、それを気にも留めず、雷の怪人─ジェニュインボルトは続ける。
「裏切り者はトオル──かつてのジュピターだよ。」と。
「信じると思うか?」
シオンは距離を詰め、ジェニュインボルトを蹴りつけ──ジェニュインボルトは稲光の速度で避ける。
「いや──可能性は大いにあり得る。」
サテライトは足を止め、考え込む。
「後で考えればいいだろ、そんなこと!さてらいと!一人じゃこいつは少しきつい!」
「いや、まだ、彼が裏切り者の場合、僕ら全員に危害が──避けるには──」
「さてらいと!」
シオンの叫びは彼に届かない、ジェニュインボルトは嘲笑う。
「どうだね、正義ごっこのヒーローさん。君たちの正義は、絆は、この程度のものだと、理解できたかね?」
「くだらない──ことを!」
シオンはジェニュインボルトを蹴りつける──空振り。
「連携もできない君たちは、実に滑稽だね!」
ジェニュインボルトの放った電撃がサテライトを襲い──
「させるかよ……!」
その前に立ちはだかったシオンに直撃する。
ガードした腕の装甲が、黒く煤けた。