サタナキア
「ははは、は。何をするかと思えば。ただ丸呑みにされただけとはね。君の頭脳は評価していたが……随分と衰えたものだね」
フレイムボルトは嘲笑う。怪物──怜央は毛むくじゃらの腕で口を拭った。
「おや、おかしいね。羽も生えてこないし……失敗かな?残念だ」
フレイムボルトは首をひねる。
突如、怪物の腹の中からくぐもった音声が聞こえた。
『The fusion fighter! サタナキア!』
「備え──まさか!」
怪物の全身から紫色の光が漏れ出し──その眩しさにフレイムボルトは目を覆う。
目を開いた彼の前にいたのは、山羊のような角を頭から生やし、烏のように漆黒の羽を背に生やした戦士だった。
「これが──備えですよ。さあ、負け惜しみの準備はできましたか?」
黒い羽が舞い散る。黒い戦士──サタナキアの姿は消えていた。
「何っ!?ぐうっ!」
敵を見失ったフレイムボルトの背中に衝撃。黒い足が、その背を蹴り飛ばしていた。
「早い──だが!」
炎を纏った拳を、黒い腕が掴んで止める。
「随分と舐め腐った真似をしますね──様子見なら、この程度で良いと鷹をくくっていましたか?」
「なんのことやら……!」
フレイムボルトは腕を振り払う。
その頭に、サタナキアは回し蹴りを放ち──紙一重で避けられる。
「炎だけで今の私達に適うとでも?知っていますよ、その程度……!」
「はははは、やはり君は賢いねぇ!いいだろう、見せてあげよう!私が君に勝てると確信する理由を!」
フレイムボルトはチェンジャーを取り出す。禍々しいヒビが赤く光る、灰色の変身装置を。