肩
『フィニッシュムーブ!スタンバイ!』
プラテナのチェンジャーが鳴り、カードが寄り集まり弓のような形を取る。そして巨大な光の矢がつがえられ──
『フィニッシュムーブ!シャイニングアロー!』
呼気と共に放たれた矢は光の尾を引きながら直進し──メメコレオスだった怪物の胴に突き刺さった。
「グガアアアアアア!!」
怪物は悶え苦しみながらも、プラテナに近づく。
一歩、また一歩。しかしプラテナは動かない。
そして彼女の目と鼻の先にまで近づいた怪物は、息も絶え絶えに、蠍のような尾をプラテナに突き刺した。
「ぐっ……」
プラテナは呻く。傷口が痺れる──が。
「怪人細胞を使えば、血清だって作れる……あなたもそれくらい知っていたでしょうに。罪滅ぼしのつもり……ってわけじゃなさそうだし、頭まで獣になってしまったのね。でも大丈夫、もう終わったから……」
プラテナは怪物に背を向け、つかつかと歩く。
背後で怪物は爆発し、焦げた地面には若い男が──怪人だった男が倒れていた。
「お待たせ。大丈夫?立てる?」
プラテナはビップに手を差し伸べる。
「ああ、なんとかね……ヒーロースーツのおかげで、生き延びてるよ……」
「どこかにラボがあるはず、そこに血清治療に必要なものはきっと一通り──だから、もう少し我慢していて」
と、プラテナはビップに肩を貸し、歩き始めた。
「悪いね……女の子にこんな世話になるなんて……もう少し、気をつけていれば……」
ビップは申し訳なさそうに言う。
「あなただって女の子なんだから。無理しすぎてたらいつかだめになってしまうわ。少しくらい、他の人たちに頼ってもいいと思う」
「そうだね……そうするよ」
二人はゆっくりと、来た道を戻り始めた。