メメコレオス
「こんな──こんなことが!あるはずが……!」
隈取が浮かぶ細い腕に、細い足に、圧倒的な力量で殴られ、蹴られ──メメコレオスは消耗していく。肉体も、精神も。
「今の私は……誰にも負けない!当然、あなたにだって!」
とどめの蹴りが、メメコレオスを天井に吹き飛ばし──叩きつけられた異形の戦士は、どしゃりと地面に落ちる。カラカラと音を立てて割れた走行の破片が地面に散らばった。
「認めない──認めない!こんな!こんな無様に!小娘如きに負けるなど!断じて!力を寄越せ!もっと!こんな無様を晒すくらいなら、命など!」
メメコレオスは立ち上がり、叫ぶ。その叫びに呼応するかのように、アンプリフェクション・ギアは回転数を上げ──火花を散らす。
「うおおおおおおお!」
およそ人間のものとは思えないような咆哮と共に──メメコレオスは姿を異形の怪物へと変貌させていく。
四枚のコウモリのような翼と、三本の蠍のような尾、そしてライオンのような巨体に、八品の太い足を生やした化け物に。
「ウオオオオオオオッ!」
メメコレオス──だった化け物は再び咆哮する。大気がビリビリと震えるが、プラテナは身じろぎもしない。
「その程度……あたしより怖くないわね。そろそろ終わりにしましょう」
プラテナが空中に手をかざすと、その背の21枚のカードが寄り集まり、形を変えていった。