炎の怪人
森林公園。葉を落とした木が並び立つ静かな公園は、今だけは喧騒に包まれていた。
「くそっ、相性が悪いな!」
ビップが毒づきながら、両手の銃から光弾を放つ。
炎の怪人はまとった炎を撃ち出し、それを相殺していく。
「期待はずれだな、スターとやら。遊ぶにも少々退屈だ……」
「そいやぁ!」シオンは落ちていた大きめの石を拾い、怪人の頭めがけて投げた。
「ゔっ」
死角からの石は鈍い音を立てて燃え盛る後頭部に当たり、怪人がふらりとよろめく。
「今だ!必殺!」ビップは銃を連結させ、腕の装置を操作する。
『Finish move standby!』
「シューティングスター!喰らえっ!」
『Banish shooting!!』
ドゴォン!!轟音とともに放たれたひときわ大きな光弾が、炎の怪人に直撃する。
「ぐうううぅ!こ、ここらが潮時か……」
怪人はよろめきながらも、両の手から放った炎に身を包む。
炎が一瞬で消えると、その姿はすでにどこにもなかった。
「勝負は預けておくぞ……スター……! あとそこのお前!後ろから石投げるのは危ないからほんとやめて……」
どこからともなく声が聞こえ、フェードアウトしていった。
「くっ……逃げられたか。まああれだ。助かったぜ無資格。」
「まだそれ言います?」
「ヒーローとしては最低だからなお前。敵とはいえ戦ってるやつに後ろから石とか投げるのはゴリラかお前くらいだ。」
「酷く……あれ?」
すでにビップはいなくなっていた。変な奴だ。
シオンは伸びをすると、変身を解除し来た道を戻り始めた。