アンプリフェクション
アンプリフェクション・ギアはぐるぐると回転し、キュウキの体を灰色の光が覆う。
「ふふふはははは………あはははははは!力が溢れる!これで!俺は!こんな怪人なんかに!」
狂気じみた笑いとともにキュウキはヴォルクに突進し──ヴォルクは跳躍して回避し天井を蹴って落下に勢いをつけた回し蹴りをキュウキの背中目掛け放った。
「ぐっ……これでもか……これでも!まだ!足りない!もっとだ!」
その声に応えるかのようにギアの回転が早くなる。そして、灰色の光が溢れる。
「いいから早くそのギア外せ!明らかに嫌な匂いがする!」
「勝てないと知っての口先三寸か?そんな口車に乗せられるはずがない!」
灰色の光を纏うキュウキは激高し、鎌を振り回す。突風が真空波を作り出し、ヴォルクの青い毛を切り風に散らした。
「ああもう!」
ヴォルクは体勢を低め地面を滑走──ぐるりと足をコンパスのように回転させ、足払いをかける。
「ぬおっ!?」
不意を突かれ、転倒したキュウキのチェンジャーにヴォルクは手を伸ばした。が。
「何っ!?」
ギアを庇うように、灰色の光が覆いかぶさる。硬質化したそれは、ヴォルクの指を通さなかった。
「無駄だ、ケダモノ!」
ヴォルクの胴に、キュウキは回し蹴りを放った。
「うぐっ……げほっ……」
反対側の壁に叩きつけられ、地面に落下したヴォルクは呻く。咄嗟に後ろに飛んだためか致命傷にはなっていないだろうが、それでもダメージは大きい。
──クソ、油断しちまった……早く、あのギアを……
「はははは、呆気ないな!これで終わりに……っ!?」
キュウキの体から力が抜け、地面に倒れ伏す。
「なんだ……?」
ヴォルクは立ち上がり、よろよろとキュウキに近づき──止まる。
──まずい。何が起きているかはわからねえけど、とにかく、何か良くないことが……