分かれ道
「あの規模の待ち伏せがあったということは、間違いなく情報が漏れていた、とはいえ…」
扉の先の研究室、クローン造成装置を破壊したサテライトは部屋に取り残されたデスクトップを見やる。
「画面がついたままだ。おそらくまだ遠くへは行っていないはず。出口も探さなきゃいけないし、ここは別れて捜索しよう。」
「一人ずつ?」
「だと、不測の事態に対応できないから。横並びになっててちょうどいいから二人ずつに分けよう。」
と、分けられたチームはシオンとサテライト、キキとタタラ、蒼とトオル、そして……
「私は一人で構いませんよ、少しここに用事があるので……」
あまりの夜雲はそう言うと、通路の奥へと消えていった。
「なんか……悪いことしたみたいな気分だ。」
「気にすることないと思うよ、彼なりの気遣いさ。さ、行こう!」
さてらいともまた通路の奥へ。シオン達は慌てて後を追った。
六人組は分かれ道で四人組と二人組に、そして次の分かれ道で二人組と二人組に。
トオルと並び立って走りながら、蒼は来た道を振り返る。
──これならもう、俺の声はあいつらには聞こえないな。
蒼は一人、心の中で頷いた。