侵入
それからさらに数日──シオンたちはアニバース基地の物陰に潜んでいた。
これから始まる進化の会の解体、及びフレイムボルトの捕獲、そして怜央の救出を目的とした大規模戦闘のためだ。
「作戦は最初に伝えた通り。何かあれば僕が指揮を取るよ」
白い騎士のような姿のさてらいとが囁くように言うと、他の全員が頷いた。
シオン、キキ、トオル……何故か当然のようにいる蒼とタタラ、そして夜雲。
「いいのか?進化の会だっけか、お前らの古巣だろ?」
キキが蒼と夜雲に問いかける。
「義務と復讐ですよ、私は……」
「元職場が悪いことしてるなら止めるのが元構成員の仕事じゃないのか?」
「いや、それは現構成員の仕事じゃないか?」
シオンは首を傾げる。
「そいつらが頼れなくてこうなってるからな。それに人数多いほうがいいだろ、こういうのはさ」
「ふーん……なら……頼りにしてるぜ。」
と、キキはニヤリと笑う。
「任せとけ。修行の成果、見せてやる。」
「じゃ、行きましょ。お父様に話はついてるから。」
タタラがどこからかカードキーを取り出す。
「裏口から侵入、進化の会の隠しアジトに直行してからそれぞれ別れて目的を果たす……お父様たちは不介入、内乱は避けたいって。あくまで私達がこっそり侵入してやったことにしたいみたいね。」
「まあ……向こうにも事情があるんだろうしな。完全に賛成ってわけじゃないが、それは後回し。とりあえず襲ってこないだけでもありがたいと思っとかないとね。じゃ、頼むぜ」
タタラは頷くと、裏口の前に先行しカードキーを通す。
電子音とともに扉が開いた。
「行くよ、みんな!」
さてらいとの号令を合図に、シオンたちはアニバース基地に侵入した。