必殺技2?
「なんで借金取りが怪人なんだよ!」
様子を見に玄関先に現れた中年男にシオンは詰め寄る。
確か鼠島?とか呼ばれてたなこいつ。
「し、知らない!一回怪人になって追っ払ったから、ひょっとして対抗して……」
「バカなの!?」
「そのためにあのギアを貰ったんだよ!」
「それがバカだって言ってんの!」
そんなお手軽に手に入る力を見せつければ、手段を選ばない相手は同じ手で攻めてくることくらい想像が付きそうなもんだが。
「あー!なんでだ!無駄な手間ばっか増えてく!」
苛立ちを隠せないシオンの前に、またイノシシの怪人が足音を響かせながら現れた。
「ハァ……ハァ……ゲホッ。てめえ…よくも…」
怪人とはいえ流石に4階から落ちたらダメージも少なくないようで、その足取りはよろよろと覚束ない。
「てーい!」
もう一度蹴り落とす。
「うわ助け」
最後まで言う間もなく、怪人は再び地面に落ちていく。
続いて亀の怪人がよろめきながら現れる。
「なんで話も聞かずにこんなことを……ここ、日本なんですよ……?ごふっ」
こちらもダメージは少なくないようだ。
「どうせ目的はあれだろ、借金の取り立てだろ?頻繁に来られると迷惑だからちょっとくらい痛い目見ろ。」
「ひ、ひどい……ごふっ」
「というかなんでお前ら喋れるの?怪人って喋れないもんじゃないの?」
[後発のギアは高性能になりがちだからじゃない?]視界に文字が浮かぶ。
「はー、なるほど。」
[それより炎の怪人とビップが交戦中。助けに行ってあげて。]
「この状態で?」
[解決してから行くよ。必殺技2をインストールするから5秒待ってね。]
「2?」
『フィニッシュムーブ2 スタンバイ!』
5秒もせず、チェンジャーが鳴り響いた。
シオンはボタンとレバーを操作すると、立っているのがやっとの亀の怪人に近づく。