送迎
「逃げられたか……あっちの対応はおいおい考えるとして……大丈夫?立てる?」
シオンはタタラをゆっくりと地面に立たせる。
「大丈夫……です。ごめんなさい、迷惑ばっかりかけて……」
「こんくらいなんてことないって。悪いのはあの電気骨だ。蒼、とりあえず今日は帰ろうぜ。ちょっと挨拶とお礼だけ言ってくるからちょっとまっててくれると助かる。」
「ああ……後で飲みに行こうな、シオン……」
と、蒼はふらふらと立ち上がる。
「死にかけの怪我人と飲めるか。元気になってからな。せめて輸血くらいしてからにしろ」
シオンは肩を貸そうとしたが、蒼は手振りで断った。
「大丈夫だ……まあ、歩きで帰るのは無理そうだけどな……かと言ってこの格好でバスは乗れねえ」
「さてらいとに乗せてもらえば大丈夫だろ。と、言うわけで。聞いてるだろサテライト。ちょっと来て。」
『あいよー。超特急でいくね。』
チェンジャーから声。
「乗せるって……あいつ車持ってんのか……?」
蒼は怪訝そうにする。バイザーで顔が隠れていてもなんとなく表情がわかる。
「違う」
遠くからモーター音が近づいてくる。
「なんだ……?」
蒼は首をかしげる。この時間、寂れに寂れたこの町では車が走ることすら珍しい。
「あ、もう来てくれたのか。さすがだな。」
「来てくれた、って……」
と、ブレーキ音と土煙が巻き起こる。
「なんだ!?また敵か?」
土煙の向こうから蒼の声が聞こえた。
「待たせたね。サテライト・ビークルモード、来たよ!」
土煙が収まりシオンたちの前に姿をあらわしたのは、バイクに変形したサテライトだった。
「えっ、えぇ……?」
蒼は困惑する。無理もない。無人のバイクが喋り、しかもそれは変形した知り合いなのだから。
「あれ?お前これ見るのはじめてだっけ」
既に一度見たシオンは慣れたものだったが。
「ああ、まぁ……これ、普通免許で乗れるのか?」
「僕が免許あるから大丈夫だよ。」とサテライト。
「そんなもんなのか……?」
蒼は混乱しながら白いバイクに乗り、モーター音とともに遠ざかっていった。




