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悪魔

 「ねえ蒼。髪型、変じゃないかな?」

「大丈夫大丈夫。似合ってるぜ」

夕焼けが照らす隣町の道路沿い、蒼とタタラは富岡の家に向かっていた。

一時間に一本だけ来るバスで一本、バス停から歩いて7分。

そこそこの方向音痴を患っている蒼は、さてらいとにもらった地図表示したスマホを凝視し時折タタラの方に目を向けては、スマホに視線を戻す。

「こけるよ、スマホ見ながら歩いてると。」

心配そうにタタラは言う。

「ん、ああ」

蒼は気のない返事をし、スマホから目を離さない。彼にとっては怪我より道に迷うほうが心配だった。

方向音痴のせいで一度間違った道に入ると、帰りつけない自身があった。事実過去にそうなりかけ、交番で道を聞き、通行人とすれ違うたび道を聞き、這々の体で帰路に着いたことも一度や二度ではない。

「蒼ー。ねえー。ねえって。」

しつこいタタラの声にようやく蒼は顔をあげる。

「ん……?どうした?」

「ふと気になったけど、これから会いに行くシオンくんってどんな人なの?」

と、タタラが問う。

そういえば、タタラとシオンには面識がない。少なくとも蒼の知っている限りでは。

暴走していた時のことを覚えている、とタタラは言っていたが、そうだとしても知っているのはジュピターに変身したときのシオンだけだろう。

「あー、あいつは……」

──どんなやつ、か。あまり考えることもなかったな。

と、蒼はシオンとの間にあった出来事を思い返す。

──まとめると、そうだな……

「アホだけどお人好しなやつ、かな」

「蒼と一緒ね。似た者同士だ」

「いや……それはない。あいつと一緒はない」

蒼はぶんぶんと手振りで否定する。

「ふふ、シオンくんもおんなじ質問したらそうやって答えそう」

タタラは手で口元を抑え、笑った。

「かもな……」

蒼は頭を掻き──突然、どこからかの殺気。

「タタラ、気をつけろ。誰かに狙われてる。」

「……え?」

タタラの顔に焦りが浮かぶ。

蒼は辺りを見渡すが、誰かがいるような様子は──

「上か!」

蒼とタタラの上空、二人を睨みつけていたのは、山羊のような頭を持った、真っ黒な怪物。背中に生えた蝙蝠の羽が、バサバサと羽ばたいている。

「あれは──悪魔?」

真っ青な顔で、タタラが呟く。

上空に浮かぶそれはタタラがいつも使っているタロットの悪魔のカードに描かれた、山羊頭の悪魔バフォメットとあまりにも相似していた。

「現実に悪魔なんているかよ、大方怪人だろ。タタラは下がってな。まだ本調子じゃないだろ」

と、蒼はポケットから出したギアを握りしめる。

ギアは蒼の掌に溶け込み──その身体が変性する。

溶けだすように青い被毛が、鋭い牙が、尖った耳が現れ、蒼の姿は怪人──スィニーヴォルクへと変貌した。

「……最初から本気で行くぜ!変身!」

『チェンジ……ザ・ロムルス!』

スィニーヴォルクはチェンジャーを装着し、紺の戦士、ロムルスに変身する。

吐き気と目眩が蒼を襲うが、気合で持ちこたえる。

「来いよ、化け物!」

と、ロムルスは手招きし怪人を挑発した。






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