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袋のネズミ

逃げる怪物を追い、シオンは走る。

どこに逃げようとも、怪人の行き先は矢印が教えてくれる。

毎日のジョギングできたえられていたのもあり、5分とせずシオンは怪人に追いつき、その背中に飛び蹴りをお見舞いした。

「どうだ!」

倒れた怪人は諦めたように大の字になると、その体からコインのようなものが排出される。

この距離でそれをはっきりとみるのはシオンにとってははじめてだった。

銀色で、コインというよりは歯車のような形。

歯車を排出した怪人はもとの禿げ散らかした中年に戻った。


 「はぁ……はぁ……なんなんだお前さんは……」

息を切らした中年が言う。

「正義のヒーローだ。お前を倒しに来た。」

シオンの言葉に、男が焦る。

「ち、違う!俺じゃねぇんだ!」

「いや、お前は間違いなく怪人だ。その歯車が怪人になるのに必要なんだろ?こっちに渡せ。」

「い、嫌だ!これがないと俺は……」

男が歯車を口に入れ、飲み下すと体が溢れ出す光に包まれ再び毛深い怪人となった。

どことなくネズミに似ている。

「そっちがその気なら仕方ない。力づくで行く!」

怪人の拳をステップでかわし、シオンは渾身の拳を叩き込む。

よろめく怪人と拳に伝わる手応えから、シオンは自分の突きの威力が大幅に上がっていることに気がついた。

「いいぞ!でもなんでだ?」

考えている隙もなく、怪人の突進をかわし背中に蹴りをみまう。

毎日走って鍛えている割に蹴りの威力はそこまで上がっていない。

が、シオンの攻撃は確実に怪人を圧倒している。

ワニの怪人が強すぎたのかもしれない。

それでもシオンは、自分が三週間前より圧倒的に強いと確信していた。

「どうした、その程度かよ!」

頭突きを、歯を、尾を。

やみくもでやぶれかぶれな怪人の攻撃をかわし続け、シオンはひたすらに相手にダメージを与えていく。

『フィニッシュムーブ!スタンバイ!』

チェンジャーが鳴り響く。シオンは回し蹴りと同時にレバーを操作し、構える。

『バニッシュインパクト!』

音声とともに、光る拳が怪人の溝尾に突き刺さる。

その背中から歯車が飛び出し爆散した。

怪人の姿はもとの中年に戻り、シオンは人が来る前に変身を解除した。


怪人名鑑#3 モルモットモット


モルモットの怪人。慣れてくると穴とか掘れるぞ。

もふもふした毛皮のおかげで結構耐久力がある。

ピアノや銀色のタイツとはなんの関係もないよ。


変身者は借金まみれの中年男。


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