表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/245

光の剣

 「三本でもだめか……どうする?」

シオンは折れた剣の柄を地面に投げ捨てる。

「5本で行くか?」

ロムルスは首をひねりながら言う。

「二人共アホなことしてるみたいだけど。こっちの準備、終わったよ!」

上空からさてらいとの声。

見上げた二人は驚愕する。

「な、何あれ!?」

「すげえ……」

空に浮かぶさてらいとは掲げていた。巨大な光の剣──いや、柱と言ったほうがよいだろうか──その肩幅の2倍ほどの直径を持つ、ほとばしる光の束を。

「二人共、離れて!」

「おお!」「そりゃあな!」

シオンとロムルスは怪物から距離を取る。

「必殺!ネメシスソーーーードッッ!!」

と、さてらいとが振り下ろした光の剣は大気を焼き、空を裂きながら灰色に固まった怪物と接触し──その灰色の皮膚を、肉を焼き焦がし、左右の端数センチのみを残して蒸発させた。

「すげえ……」「そうだな……」

あまりの出来事に、シオンと蒼は語彙を失っていた。

光の剣は地面を炙り、数秒の後縮んで消える。

数センチずつ残された怪物の両端──ほとんど消し炭だが──は、風に煽られパタリと地面に倒れた。

「よし。ぶっつけ本番になったけど、意外とうまく……」

さてらいとは最後まで言い切ることなく、糸が切れた人形のように地面に落下し始めた。

「え、ちょ!?」

「俺が行く!」

焦るシオンを制止し、ロムルスは駆け出す。

「うおおお!」

叫びながら助走、跳躍し──空中でさてらいとを確保、そのまま地面に音もなく着地した。

「ヒヤヒヤさせてくれるぜ、全く。立てるか?」

ロムルスは抱きかかえていたさてらいとを地面に下ろす。

「すまないね。思ったよりエネルギーを食うみたいだ」

ふらつきながらも、さてらいとは地面に立つ。

「なにはともあれ、今回も僕たちの勝ちだ」と。

と、怪物の切れ端がピクリと動いた。ロムルスもサテライトも気がついていない──

「危ない!」

一人、気がついたシオンは駆け出した。まだ変身は解除していない──怪物の切れ端から尖った触手のような何かが、ロムルスめがけ一直線に飛び出した──シオンは蒼の前に立ちふさがり──

「ぐ……うっ!」

触手はシオンの左胸を貫く。シオンの口の中にぬるついた鉄の味が広がった。

永遠とも感じられる数秒の後、触手は先端をシオンの体内に残したまま切れ──自切だろうか?力なくぼとりと地面に落ちる。同時に、焦げた怪物の切れ端から、小さな何かが空に向かって打ち出された。

ジュピターの姿が光に包まれ、胸と口から血を流したシオンは地面に倒れ込む。

「シオン!」

嘆くように叫ぶ蒼の声も、その耳には届いていなかった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ