4話
なんだかポイントが3桁行っとりますねぇ……
いろんな人が見ていただいて恐悦至極でござい〜まっす!
追伸、ステータス表に生命力を追加とレベルアップ時に貰える成長ポイントの量の修正。
UNMWのレア度の表記のチェンジしました。
『フハ、フハハハハ!!凄まじい。凄まじいぞドミナント!これこそが血湧き肉躍る戦いだ!貴様を我が好敵手として認めようではないか!』
「そんなもの必要ない」
黒騎士に攻撃の暇を与えないよう次々とフェイントをおりまぜ、奴へ十字架のような形をした双剣で攻撃を加えていく。
だが、その攻撃は全て片方の腕がないというのに黒騎士はハンデがないような剣さばきで私の攻撃を次々いなしていく。
脇を狙った攻撃は剣の側面で防がれ、続けてはなった膝蹴りは体を少し後ろへ動かすことでかわした挙句、私に頭突きをかましてきやがった。
そして軽く硬直した私へ黒騎士は蹴りを放つ。
けどその蹴りは素早く双剣を重ねることで防ぎ、距離を離して私は懐からHPポーションを取り出して、それの細い飲み口を指で圧し折り、喉に流し込んでイエローゾーンだったHPをグリーンまで回復させる。
「アハァッ!」
『フハハ!』
双剣をくるり逆手に持ち変え、黒騎士へと突撃し、黒騎士はそれを迎撃する。
どちらも一進一退の攻防。1の攻撃を黒騎士が出せば響は2の反撃を。どちらもその口に弧をえがき、己の得物を振るう。
切る、穿つ、抉る、削ぎ落とす。
弾く、逸らす、防ぐ、潰す、切り落とす。
黒騎士の攻撃がかするだけで私のHPはガリっと削れ、私の攻撃では黒騎士のHPは少ししか削れない。
けどこのことに焦ることなくダメージを与えていく。
『ヌゥ!?』
そして私の蹴りでスタン値が溜まったのか、黒騎士は数秒だけ体が不自然に硬直する。
「ハッ!」
その隙を逃すわけがなく、連撃を加える。
これで、黒騎士のHPが半分まで削ることができた。
そして黒騎士は硬直から抜け出すと同時に、その剣を振り下ろす。
これを私は避けようとしたが、片方の足が動かず、何事とも思いそこを見たら、黒騎士が私のつま先をその脚で踏んで、地面とぬいつけていたのだ。
かなり昔のヤンキーが使いそうな戦法だな、オイ。
これにより私は攻撃を避けることが出来ず、左腕を肩口から半ば切り落とされ、双剣の片割れとともに左腕があらぬ方向へと飛んでいく。これによりHPが一気に4割ほど削れ、酷い不快感が脳に突き刺さる。
「ッアァ!」
けどそれを無視して足を踏ん張り、傷口から血が流れるのも構わず、残った剣を黒騎士の甲の覗き穴へ突き刺す。
『ぬぅ!?』
ヨロリと黒騎士は足がもつれ、その間に地面に落ちていた自分の片腕から剣を回収し、黒騎士へタックルをあびせる。
『グヌゥ!』
懐に飛び込まれたために、黒騎士はその手に握られた剣のリーチが長いために振り払うことが出来ず、私は鎧の隙間から剣を刺し続ける。
だが黒騎士はタックルを私へと放つことで私の攻撃を無理やり終了させることに成功し、私はその手から剣がこぼれおちてしまう。
「ガァァァアァ!!」
けど、地面に落ちる寸前、その柄の平らな部分ををつま先で蹴りあげることで私の手元に戻し、黒騎士の胸の中心部へと突き刺す。
『ガッハァ!?』
黒騎士の兜から赤黒い光が漏れるけど、その戦意は衰えず逆に私を手首を握り砕いてきた。
「グゥ!?」
メキャ、と嫌な音と右手が手首から先の感覚が失われる。
けど、たかが両腕が使えなくなっただけだ!!
「アァァァアァァアガァァァァッ!!」
口から赤黒い光を漏らしながらも、私は獣のように叫び声を上げ、ちょうどいい位置にあった黒騎士の喉へ食らいついた。
『ゴッ、ガッア!?なっ……にぃ!?』
「フゥウッッ!!」
さすがにこれは奴からしたら予想外の反撃だったのか、黒騎士は少しだけ硬直してしまった。けどそれがいけなかった。
私はそのまま食らいついた状態で黒騎士を押し倒し、ひたすらに黒騎士の喉を食いちぎる。
1口喰らうごとに、血の味が口内を蹂躙し吐き出したくなる感覚に陥るけど無理やり飲み込んでいく。
黒騎士は私をどかそうとするけど、片腕は肘から先がなく、無事な方の腕は手首の砕けた右手で無理やり双剣の片割れで地面にぬいつけて動かすことが出来ない。
『ゴッ、ガッ!?ギッガァ!?』
不味い!不味い!不味い!不味い!マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイ!!
「■■■■■■■■──!!!」
『私の愛しいマスター……』
「あ───」
それが合図となり、身体中の力が抜け地面へと倒れ意識が消えていく。
響。あぁ、私の可愛い響……貴方は私の大切な器。私の大切な大切な子供。いつも私はあなたの隣に居るわ。だから貴方は私を受け入れられるよう、殺すのよ。貴方の前に立つ邪魔なやつは一匹残らず。フフ、フフフフフ。アハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!
過去を思い出す。私の髪と瞳を馬鹿にした奴らの顔の原型がとどめないくらいグチャグチャにして、私の足元に転がり『痛い。痛いよ。助けてェ……』って無様に逃げようとする哀れな獲物たち。
ねぇ、逃げないでよ。私の目は綺麗でしょう?私の髪は綺麗でしょう?ねぇ、なんで逃げるの?ねぇ?ねぇ?ねぇ!!?どうしてみんな私を怖がるの!?どうして!?ワタシツクヨサマじゃない!
ワタシハワタシダヨ!!ミンナナンデワタシノコトヲツクヨサマッテイウノ!?
いや!わたしはわたしなの!かんなづきなんてしらない!わたしをみて!わたしはわたし!!
「……ハッ」
目を開くと、木製の天井が目に映る。
私の体をちらりと見ると、装備していた革鎧とマント、マスクが外されてゆったりとしたシャツを着せられていた。
「見知らぬ天井……」
はいすみません。言ってみたかっただけです。
「あら、起きたのねマスター。おはよう」
そんな声が聞こえ、体を起こして首を右へ動かすと、そこには黒いワンピース姿の女の子が椅子に座っていた。
「あーうん。おはよう。君は?」
私が聞くと、肩を竦めて女の子は口を開いた。
「あら、既に貴方は私が何者かを知っているはずだけど?」
いや、知らな──いや、知っている。確か、
「ジャッジメント……だったかな?」
「疑問形というのが些か不満だけど合っているわよ。改めて宜しくねマスター。私はジャッジメント。貴方のドラゴアームズのジャッジメントよ」
ワンピースのスカートの端を摘み、ちょこんとお辞儀をする姿は思わず見とれそうになるけど、頭を振って思考をクリアにする。
「あ、そう言えばリリシアはきちんとセリアさんの所に辿り着けた?」
「ええ。貴方のお兄さんが今外でその事を話しているわよ」
「それは良かった」
ジャッジメントの言葉に安心して私はベッドへと倒れ、視線を天井に固定する。
「あ……ダークナイトとの戦いは結局どうなったの?」
「あら?マスターが倒したのでしょう?すごい戦闘だったわよ。フフ、今思い出しても滾るわね」
「そうは言われても殆ど覚えてないんだけどな〜……」
ひとつ確かなのは私がワタシではなくなったような感じと、口の中に仄かに残る血の味………
そう答えつつ、私はメニュー画面からアイテムストレージを確認する。
【黒騎士の剣】
カテゴリー:UNMW
レア度:男爵級武装
各地を転々とする名もなき黒騎士が使っていた漆黒のロングソード。その刃に込められた想いは戦いへの渇望か、自身の命を散らそうとする無謀かは本人にしかわからない。
装備時発動スキル
《黒騎士の誓い》
筋力、耐久力、技量、速度に上方補正させる代わりに投擲アイテムを使うことが出来なくなる。
《戦いへの渇望》
戦闘時、ダメージを負うごとに筋力、耐久力、技量、速度へ秒間60%補正をしていく。
【■■■─■■】
いつのまにか手に入れていたダークナイトの使っていたロングソード。試しに実体化をさせると、私のすぐ目の前に浮遊した状態でそこに現れた。
黒革の鞘に収められたそれはゆっくりと落下していき、ベッドのシーツに落ちる前に私はそれを掴み引き寄せる。
大きさのわりに意外と重くなく、せいぜい鉄バットや木刀程度の重さだ。
そして、ほのかに感じる貪欲なまでの戦への渇望……確かにこれにはダークナイトの思いが篭っているらしい。
「なんだか呪われそうだなこれ」
少しだけ鞘からその刃を抜くと、黒くくすんだ刀身が見えた。
「変なのに目をつけられちゃったなー」
剣をインベントリの奥底にしまい込み、私は思わずそう愚痴る。
私がそうしていると、扉が開かれ部屋の中に少し前に見たリリシアが飛び込んできた。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「あーうん。平気。ちょっと無茶しちゃったみたい。あとジャッジメント、その子は大丈夫だから。頼むから殺気出さないで」
「あら?フフッ、マスターに悪い虫がつかないようにしただけなのだけれど?まぁ、マスターがそういうのならいいわ。フフフ……」
それだけジャッジメントは答えると、用意していた椅子に再び座るとその目を閉じた。
さっきの笑いはかなりやばかったなぁ……ちょっと背筋が凍ったね。ウン。
「お姉ちゃん。あの子は?」
「私のDAのジャッジメントだよ。あと私の名前はヒビキねリリシア」
「ドラゴアームズ!?初めて近くで見た……変身するって聞いたけど本当なの?」
「いや、どうだろ。気がついたらジャッジメントがいたからね。よく分からないんだよ」
「変なの〜」
だから子供は苦手なんだよなぁ……思ったことずかずか言ってくるから。
けど悪気があって言ってるわけじゃないんだからタチが悪いというかなんというか……
「よっ、響。元気なったかー」
そうしていると、兄さんが部屋に入ってきた。
「あ、ピエロお兄ちゃん」
「よ、リリシア。姉ちゃんが呼んでたぞ」
「わかったー」
兄さんの言葉にリリシアはタタタ…と部屋から出ていき、この部屋に私と兄さん目を閉じているジャッジメントの3人だけが残った。
「ねぇ兄さん。私ってどうなってたの?」
「覚えてねーのか?」
「うん。やばそうなやつと出会ってからの記憶がほとんどない」
なにか……とても嫌な感じだっというのは記憶している。
「俺も詳しいことはわからんが、俺とチャリオットが戦闘を終わらせて出口に向かっていたら、お前さんが出口のすぐ近くで倒れていたのを見つけて運び込んだ感じだ」
「そう……」
「お前さんなんか気分が悪いところはないか?」
それから程なくして、兄さんがそんなことを聞いてきた。
「ん〜……特に気持ち悪くは無いね。平気。ちょっと口の中が変な感じだけど」
「そうか……良かったよ。本当に」
私の答えに兄さんは安心したように口元を緩め、嬉しそうに言ってきたけど、ちょっと照れくさいな。
「とりあえず今日はどうする?お前のために歓迎会的なの準備してたが……体調が優れないのならもう辞めたほうがいいぞ」
「えー、そんな面白そうなの残してログアウトはできないよ兄さん」
「お前なぁ……」
呆れたように頭を掻くと、兄さんは苦笑いを浮かべて話した。
「OK。んじゃ予約した店があっからそこ行くぞ」
「やった!」
〜とある場所のどこか〜
「ククク………ハッハッハ!」
あかりのない空間でその男は心底楽しそうに腹を抱えて笑っていた。
「お〜?なんか随分と楽しそうじゃねーかよ兄貴ィ」
「『エクスシア』か。クックック、新たなドミナントと遭遇したぞ」
「マジィ?んでどうだったよ」
「ああ。我の超劣化版とはいえ黒騎士のアバターを倒しおったわ」
「ギャハ……それはすげぇ」
「久方ぶりに血湧き肉躍る戦いであった……。ああ……、実に。実に!楽しかった!!」
「キヒヒヒ!兄貴のみてーなイカレ野郎に目をつけられるなんて、その『リンクス』はかわいそーだねぇ」
「クハハ。我がいうのもなんだが、奴もやつで中々に狂っておったぞ?クックック……次はさらに愉しくなりそうではないか」
獰猛に笑い、男は双剣を操る赤い瞳の中性的な美貌の狩人の思い出し、喜びに打ち震えその手を握った。
「ギャヒヒヒ……そのマスター。俺も興味わいちった☆」
響が預かり知らぬところでそのような会話が繰り広げられており、彼女には前途多難な未来が安易に想像することが出来た。
「へっくち……なんだろやばい奴らに噂されてる気がする」
──P510329。リンクスネーム『ヒビキ』の精神汚染度をD-からDへシフト。
──P510329。『ヒビキ』をドミナントと断定。
──隠しスキル【熾天使の祝福】【能天使の祝福】を獲得。
──ARCANA NO.20《THE・JUDGMENT》の孵化を確認。これよりリンクス『ヒビキ』を要観察対象へ。
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↑のは本へにものすごく関係します。
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