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片翼シリーズ番外編  作者: 星宮歌
俺、異世界で置き去りにされました!?の番外編
38/41

お酒(ライナード視点)

さぁさぁっ、定番のお酒ネタ!


それでは、どうぞ!

 それは、ほんの思いつきだった。



「そういえば、カイトは酒を飲めるのか?」



 美味しそうに、俺が作ったホワイトソースがけのオムライスを食べていたカイトは、ゴクンと口にしていたものを飲み込む。



「いや、俺、まだ成人じゃないし、お酒は禁止されてたから飲んだことないんだよな」


「む? 人間の成人は十五歳だったと記憶しているが……それに、幼児でもない限り、酒を飲むことくらいは……なかったんだな?」



 大抵、この世界はどこの国でも十五歳前後で成人とされる。そして、成人を迎えていないから酒が飲めないなんてこと自体、あまりなかった。よほど酒に弱いとかでない限り、十を越える頃には飲む者が多いと聞く。しかし、カイトの様子を見る限り、どうやら元の世界では、何歳か分からない成人を迎えない限り、飲酒は禁止されていたらしい。



「俺の世界では、二十歳にならないとお酒は飲めなかったんだ。まぁ、それでも興味を持って飲む奴は居たけどな?」


「ならば、試しに飲んでみるか?」


「飲むっ!」



 カイトが興味を持ってくれるかどうかは分からなかったものの、提案してみればあっさりと食いついてくれた。恐らく、カイト自身も酒に興味はあったのだろう。

 最初だからということで、比較的口当たりが良い果実酒を用意して、俺達は、一緒に酒を飲む。



「ん、美味しい」



 あんずの果実酒を飲むカイトは、その味が気に入ったらしく、グイグイと飲んでいく。俺は、そんなカイトの様子を微笑ましく見ながらワインを飲む。すると……。



「ライナードー、キス、しよー?」


「む?」



 少し顔を赤らめたカイトが間近に迫ったかと思えば、次の瞬間、カイトは俺にチュッと口づけをする。



「えへへー、もっとぉ」



 にへら、と笑うカイトに、俺はまさかと思いながらも問いかける。



「酔った、のか?」


(コップ一杯も飲んでいなかったはずだが!?)



 しかし、カイトは頬を赤らめ、潤んだ瞳でニコニコと笑い続けて……またしても俺にくちづけをしてくる。普段は俺が口づけをする側で、その度にカイトは真っ赤になるのだが……これはこれで新鮮だ。



「カイト」


「ん……ちゅ……」



 それはそれは嬉しそうに口づけに応えてくれるカイトに、俺は、自分の欲を抑えるのが辛くなる。



(相手は酔っぱらい……無体を強いるわけには……いや、しかし、こんなに積極的なカイトを前にして我慢など……いやいやいや……)



 どうにか紳士であろうとするものの、何度も何度もキスをねだるカイトに、理性はグズグズに崩れ落ちていく。そして、とうとう我慢の限界を迎えて、カイトをベッドに運ぼうとしたところで……。



「寝、た?」



 抱き上げたカイトは、とてもとても、安らかな顔をして眠っていた。さすがに、この状態で手を出すわけにはいかない。

 俺は、凄まじい生殺し状態に葛藤しながら……カイトには、絶対に人前で飲酒させないでおこうと決意するのだった。

海斗ちゃん、酔ったらキス魔になる模様。


ライナードの前で、本当に良かった(笑)


それでは、また!

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