バレンタイン ライナード編(海斗視点)
今回は、短めな平和なバレンタインです。
それでは、どうぞ!
今日は、バレンタインデー。世の女の子がキャッキャウフフと、意中の相手やそうでない人達にチョコをばら蒔く日。……俺にとっては、男からチョコをもらうことばかりだった悲しい記憶がある一日。そんな日に、俺は、ライナードと一緒に厨房にいた。
「そう、それを混ぜるんだ」
「こうか?」
「む。それで良い」
現在、俺はライナードとチョコチップクッキーを作成中だ。
原因は至って単純。バレンタインデーを前に、ライナードはチラチラと俺を見ることが多くなり、問いただしたところ、バレンタインのチョコがほしいとのことだったからだ。
しかし、俺は自慢じゃないが、全く料理はできない。せいぜい、家庭科の授業で少しやったことがある程度だ。包丁もまともに持てている自信はない。それを告げれば、それならば、一緒に作れば良いということになったのだ。
「あとは、天板に置いて焼くだけだ」
「おぉっ、これでできるんだなっ」
ライナードと初めて行うお菓子作りは案外楽しかった。これなら、またやっても良いかもしれない。
「焼けたら、ライナードに一番に渡すからな」
「む」
頬を赤くして、どこか嬉しそうなライナードに、俺も同じように嬉しくなる。
「冷めたら、一緒に食べよう」
「うん」
そうして、穏やかなバレンタインデーが過ぎていく。後から、夕夏さんやリリスさんのところでは随分ととんでもないことになっていたことを聞くことになったものの、俺達のバレンタインは、平和なまま、そして、とても暖かい気持ちで過ぎたのだった。
前の二人が波乱万丈だった分、今回がとても平和な気がします。
三月は、ホワイトデーを書くぞ!
それでは、また!




