モフモフパラダイス(リリス視点)
思いつきと勢いだけで書いたお話です。
それでは、どうぞ!
ヴァイラン魔国にとあるカフェが出来た。その名もモフモフパラダイス。と、いうわけで……。
「ルティ、わたくしは、ユーカと一緒にモフパラに行ってきますわね」
「リリスっ、そんなに毛玉が良いの! 僕だって、モフモフになれるんだよっ!?」
そう言うや否や、ルティアスは子狼に変化して、『きゅうんっ』と鳴く。
「くっ、あざと可愛いですわね……ですが、今日は譲れませんわっ! ルティ、もし着いてきたりしたら、一週間口をききませんからね?」
「そんなっ!」
子狼の姿で絶望にうちひしがれるルティアスを前に、罪悪感がなかったわけではないものの、それをどうにか無視して、わたくしはユーカのところへと転移する。
「ユーカ、迎えにきましたわよ」
「あっ、リリスっ!」
「にゃっ!?」
「にゃーんっ!」
わたくしが行くと、ぶさ可愛い翡翠色の猫と、灰色のスラリとした体型の猫が居て、何となく状況を察しながら、ユーカの手を取る。
「では、行きましょう」
「はいっ」
悲鳴をあげる猫を無視して、わたくしはすぐさま転移する。何たって、相手は猫だ。気遣う必要性などないだろう。
「モフモフですわっ!」
「ふわぁっ、可愛いっ!」
モフモフパラダイスには、様々なモフが居て、猫、犬、子狼はもちろん、リス、ウサギ、小熊などなど、パラダイスの名を冠する理由が良く分かるその場所で、わたくし達はモフモフに包まれながら、楽しく過ごすのだった。そして……。
「ただいま戻りましたわ」
「きゅーんっ」
戻ったわたくしを出迎えたのは、いつも以上にツヤツヤした毛並みの子狼ルティアス。
「ルティ?」
「ブラッシングを、屋敷の使用人にしてもらったんだ。だから、他の毛玉に浮気しないで」
うるうると目を潤ませて、そう告げるルティアスを前に……わたくしの中の何かが、崩壊した。
「かっ……」
「か?」
「可愛いですわっ! ルティ! えぇ、えぇっ、分かりましたわっ! 今日は目一杯、ユーカ直伝のモフテクで可愛がって差し上げますわっ!」
「へ? えっ? 『もふてく』って何? きゃいんっ!」
そうして、わたくしは五時間ほど、飽きることなくルティをモフモフし続けて……。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。もう、毛玉なんて言わないから、許して……」
なぜか、ルティアスはその後、わたくしがモフパラに行くことを止めなくなった。聞けば、ユーカのところも似たような一日を過ごしたらしく、魔王陛下方も同様の反応をとっていたらしい。
「あのモフモフ欲は、別の場所で発散してもらわないと、こっちが持たない……」
そんなことを、ルティアス達が思っているなんて考えもせずに、わたくしは、今日もモフパラから帰って、ルティアスを可愛がる気満々なのだった。
うん、海斗ちゃんのホワイトデー、早く書かなければと思いながら、こっちに流れてしまいました。
つ、次こそは、ホワイトデーをっ!
それでは、また!




