七夕(夕夏視点)
久々に、番外編を投稿です。
短いですが、どうぞ!
今日は七夕。一年で一度、短冊にお願いごとを書く日……。
「夕夏は、どんな願いを書くんだ?」
「短冊はいくらでもあるから、たくさん書いて良いんだよ?」
ここ、ヴァイラン魔国にも、七夕は存在していたらしく、私は、ジークとハミルの二人に挟まれて、短冊を前に唸っていた。
(どうしよう。これ以上幸せになるお願いごとは、幸せが過ぎて怖い……)
短冊に書くお願いごとは、基本的に、自分の力ではどうにもならないことを書く方が良いような気がするのだが、それはそれで、懸念事項があった。
(……二人が、私の願いを叶えようと奔走する姿が目に浮かぶ……)
これは、慎重に書かなければならない。そう思っていると、隣では、ジークもハミルも、それぞれの短冊にお願いごとを書き終わったらしかった。
「ジークとハミルは、何を書いたんですか?」
そう言えば、ジークとハミルは、それぞれに私へと短冊を見せてくれる。
「俺はこれだ。『ユーカがいつまでも、笑顔で俺とともにあってくれますように』」
「僕は、これ。『ユーカが僕と、いつまでも幸せに暮らせますように』」
それは、表現こそ違えど、同じ願いだった。
(それなら……)
二人の短冊を見てしまえば、私の願いも決まってくる。
『私の大切な人達が、ずっと幸せでいられますように』
それを見せた後、二人に感激されて、しばらく部屋で動けなくなるほどの運動をさせられたのは、良い思い出……なのだろうか?
数年後、私の短冊を二人が厳重に保管していたことを知り、私が羞恥心で悶えることになるのは、もう少し先のお話……。




