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片翼シリーズ番外編  作者: 星宮歌
私、異世界で監禁されました!?の番外編
18/41

ホワイトデー 夕夏編(ジークフリート視点)

さてさて、今回はホワイトデー。


前回のバレンタインでやられたジーク達の反撃っ!


それでは、どうぞ!

 前回のバレンタインでは、完全にユーカにしてやられた。だから、今回は仕返しをするつもりで、ハミルトンとともに作戦を練っていたのだが……。



「思いの外、あの薬の入手は難しいよ」


「そうみたいだな」



 俺達は、ユーカにやられたことをそのままやり返そうとして、しかし、その薬の入手難易度が恐ろしく高いせいで頭を悩ませていた。それというのも……。



「あの薬は、ユーカが一度作ったっきりみたいだからね」



 そうなのだ。あの薬の制作者はユーカ本人なのだ。と、なると、俺達はユーカを嵌めるために、ユーカに懇願するという形になり……さすがにそれはバレるだろうということで、悩んでいたのだ。



「メアリー達に頼むしかない、のか?」



 最後の手段としては、ユーカの専属侍女であるメアリー達に、薬の入手を頼むくらいのことしかできなさそうだが……果たして、俺よりもユーカの命令を優先する、ユーカ命な彼女達に命令できるものかどうかが怪しい。下手をすると、情報をリークされかねない。



「……ダメ元で、やってみるしかないかも?」



 そうして、散々悩んだ結果、俺達はメアリー達に薬の入手を頼み、あっさりと許可が出た。理由を聞いてみると……。



「ユーカお嬢様の幼い頃の姿。ぜひ、見てみたいです」


「服の用意もしっかりしておきます」


「ユーカお嬢様は今でも可愛いのに、幼い頃っていったら、もーっと可愛いですよねっ!」



 大いに不純な動機だった。

 それを聞いて、俺達は顔を見合わせたものの、協力してくれるなら口を出すまいと沈黙を守る。そうして、無事薬を入手し、ホワイトデー本番がやってきた。



「ユーカ、こちらへ」


「はい」



 柔らかいソファがある部屋で、俺達はユーカを間に座らせて、プレゼントをそれぞれ渡す。



「これは、俺から。ユーカへのプレゼントだ」


「ふわぁっ」



 そうして渡したのは、不死鳥の羽で作られた本の栞。赤くホワホワとした手触りのそれを、ユーカはすぐに気に入ってくれた。



「僕からは、これを」


「こ、これは……」



 ハミルトンが渡したのは、俺達の瞳の色、サファイアとトパーズの石がついたイヤリング。ユーカは、こちらも気に入ったようだった。そして、俺達の本番はここからだ。



「今日は、食事も豪華にした」


「喜んでくれると嬉しいよ」



 そうして、ユーカが喜んで食事を食べて……最後に出されたジュースを飲んだ直後、倒れる。そして、みるみるうちに、体が縮んで、フクフクした顔の、可愛い可愛い少女がそこにいた。



「かっ」


「可愛いっ!」



 俺が絶句する中、ハミルトンは大きく叫ぶ。



「っ、ハミル、止めろっ! ユーカが起きる!」


「はっ、そうだった。あぁぁっ、でも、ユーカがっ、ユーカが、可愛いっ」



 気持ちは、痛いほど良く分かる。俺も、今は頭の中が『可愛い』だらけになっている。



「ん、んんぅ」



 そして、ユーカが身動ぎをした瞬間、俺達は、はたと、着替えのことを思い出して、メアリー達を呼び、着替えさせてもらっておく。



「んぅ? じーく? はみりゅ?」


(ぐはぁっ)



 ピンクのフリフリとしたドレスを着せて、横たえていた小さな小さなユーカは、起きるや否や、舌足らずな状態で俺達の名前を呼ぶ。



(ま、不味いっ、可愛過ぎて、息がっ……ハ、ハミルは?)



 そう思って、隣のハミルトンを見てみれば、奴も俺と同じように悶絶していた。



「うゆ? なにか、へん? ……ふぇえっ? わたし、こどもになってゆっ!?」



 全身をペタペタと触っていたユーカは、ようやくそれに気づいたらしく、びっくり、といった表情で叫ぶ。



「バ、バレンタインの仕返しだ」


「そ、そうだよ。今日は、幼い頃のユーカを見たかったんだ」



 そう言えば、小さなユーカはパチパチと目をしばたたかせて、しばらく考え込む。そして……。



「へんたい……」


「うぐっ」


「あぐっ」



 その一言が、心に大きく突き刺さった。



「んー、でも、いいでしゅ。きょうは、じーくとはみりゅに、あまえましゅっ」



 そして、次の瞬間には笑顔を見せてくるユーカに、俺達は、ユーカは小悪魔だと確信する。しかし、そんなユーカに逆らえるはずもなく……結局は、小さなユーカと、楽しくその日を過ごすのであった。

うん、まぁ、反撃は成功した、のかな?


……精神的ダメージがわりと深刻だったりしそうですが。


幸せそうだからモーマンタイ?


それでは、また!

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