最期
あれ?なんか第二章が終わりそう。
王は懐に手を入れ、魔道具を取りだしたと思うと魔王を見る。
どうやら、魔王も同じような魔道具を持っているようである。
だが、王のは白く、魔王のは黒い。
「簡潔に分かりやすく言うとだ。この場で死んでくれっつうことだな」
「光の安息(ライト・レクイエム)」
「黙示録(アポカリプス)」
起動するパスワードみたいなものだろうか。
その言葉を合図に、それぞれ白い光と黒い光を放ち、徐々に光は強くなっていく。
「ぬぅ。貴様ら、わしらも殺そうとしてるな?」
「お前らもだろ?まぁ、おあいこってことで、同盟の件はそのままでいいよな?」
「「時空転移」」
新たに懐から出した、透明のようで青い石を持ち、その能力を使う。
実はこの石は国宝級の道具であったりする。自力でほとんどの確率で抜け出せない結界でも空間をねじ曲げて転移するのだ。
「悪くは思うなよ?恨むなら、平和とかいう変なことを言った自分達を恨んでくれ」
「そうじゃのう。わしらはお主らの死を無駄にはせんから、喜んで逝ってくれ」
そして、笑いながら、光に包まれ、収まるときには既にその姿はなかった。やがて、全てを破壊する光も強くなり、いつ崩壊現象を起こしてもおかしくはない。もちろん、これも国宝級の道具である。
「...結衣、悪いな。お前の願いを叶えられなかった」
そこまで、言うと太一は結衣の腹を思いきり殴る。
「ど、どうして...?」
消え行く意識の中で結衣が最後に聞いたのは、悲しげな太一の言葉だった。
「お前だけは、生きてくれ。出来れば、その優しい心で...」
そこまで、聞こえたところで結衣の意識は途切れてしまった。
「俺の全力を持って、結衣を守る。おい、
白神龍。最後になるだろうが力を貸してくれ」
『愚かなものだな。だから、言っていただろうに。まぁ、よかろう。お前が死ねば、我は今までの忌まわしい封印を解き、また最強への道に行くつもりだからな。その願いぐらいは叶えさせてやろう』
「あぁ、悪いな。また、封印されないようにな」
『ふん、お前に言われなくても、わかってる。ただ、黒神龍の方はまだ、覚醒していないのか?』
「さぁ?俺にはわかりかねる質問だが結衣なら、大丈夫だろ」
『はぁ、全く...。そろそろだ。お別れはいいのかしなくて』
「大丈夫だ。むしろ、してたら覚悟が緩くなっちまう」
『思い浮かべろ。力から守る力を』
太一は目を瞑り、思い浮かべる。
やがて、黒き光と白き光は辺りを覆い尽くし、
何も見えなくなる。
「悪いな、こんなことになっちまって」
城木 太一の最期だった。