魔法と剣
また、説明回。
兵士長に連れてこられたのは、少し広めの競技場のようなところだった。
「私がこのグルタニア王国の兵士長をやっているカロウィンです。名前をまだ聞いてなかったので名前を聞いてもいいかい?」
兵士長、カロウィンの問いに最初、太一が答え、次に結衣が答える。
「タイチさんにユイさんだね。それで君たちはどれくらい戦えるんだい?」
戦えるわけがない。ましてや、この二人ケンカもそうするわけではなく回避したいと思う人だ。
「ふむ。じゃあ魔法も剣も出来ないと...まぁ、大丈夫。これから教えて行くから。今日は適当に説明をして、明日から鍛えていくね」
そして、話されたのはまぁ、どの小説でもあるような説明なので、カットする。
「...質問はあるかい?」
この二人、実は殆ど喋っていない。説明も聞くには聞いたが相槌を打つだけである。
「あぁ、そうだ。最後に君たちは龍を宿す勇者だったよね。それは前例はあったんだけど、中々解明されていなくてね。ただ、龍の力を借りることが出来るということらしい」
結衣は胸に手を当て、龍のことでも考えていたのだろう。そして、勇気を出して口を開く。
「そ、それで私、たちはもとの世界に帰ることが出来るんでしょうか?」
「王女様からも聞いたとは思うけど、今のこの世界には魔王が復活してね。魔王の妨害によって暫くは帰すことができそうにないんだ。それに召喚には多くのエネルギーを使った。返喚には同等のエネルギーが必要で貯めるのには恐らくあと二年ぐらいはかかってしまうと思う」
「つ、つまり?」
「残念だけど、あと二年はこの世界に留まって魔王を倒してほしい」
まぁ、そんなところだろう。とは思っていた。だが、その事実は二人に重くのしかかる。
なにせ、今の今まで体を積極的に使うことも少なかったからである。
「と、今日はこの辺であとはしっかり休んでくれ。明日からは鍛えていくから」
そんなこんなで今日のところは解散となった。