町
暫くの間、二人は無言だった。やがて、歩いてきた森を抜け、広い道に出る。
そこには、町があった。
「...やっと着いたね。今日からは暫くここに滞在しようか」
シャムは小さく頷いたがなんだかそわそわしていて初めて見た町に興奮している。
「ふふ、シャムちゃん。実は私も少しうきうきしてるかも。明日には観光しようね」
「うきうきなんかしてないもん」
やはり、そっぽを向きながらもそのしっぽはゆらゆらと揺れて嬉しそうでもある。
シャムには何を隠そうしっぽも獣耳もあるか外見は普通の獣人といっても過言はないだろう。
しかし、忌み子として長年嫌われていたのはもちろん相当の理由がある。
実のところ、シャムは目の色が違う。右目がオレンジで左目は青。これだけならここまで嫌われることはなかっただろう。しかし、少しだけではあるが魔眼気味なのだ。能力は予知、それも生と死に関すること。そして、小さかった少女はありのままのことを口に出してしまう。
「おじちゃん、明日死んじゃうの?」
そして、近所のおじさんは死んだ。この日が大きいきっかけだった。
そして、髪は白い。白いのは、あの村では忌み子として恐れられていた。もちろん一部は否定をしてくれていたが、否定派だったおじさんが死んでしまった。
しかし、この白い髪がユイの気を引いたというのもあるのだから、一概に不幸といえないのかもしれない。
そんなシャムとそんな過去を知らないユイは町へと入り、宿へと向かうのである。
「すみません、二人部屋を一つ」
「...階段を上がって、二番目の部屋だ」
寡黙の人なのだろう。シャムを見ても特に動じることはなく、お金を受け取り鍵を放ってくる。
「...それと、こいつもやる。お前らの髪は目立つ」
棚の下からフードつきの地味なのも放ってくる。
こう見えて、相当優しいようだ。
「ありがとうございます」
部屋はまぁ、それなりのものだった。
悪くもなく、どちらかといえば、清掃はしっかりされていていい方の。
その日は大分、日が暮れ始めていたのと疲れがたまっていたのでシャムはすぐに寝た。
『ここは呑気なものだな。戦争中で魔族も近くにいるというのに』
「そういう町なのよ、きっと。それでいた?」
『この町にも一人いるぞ。それも幹部クラスの大物がな』
「そう、それじゃあ明日は情報収集も兼ねて、町の探索でいいわね」
ユイもひとこと、おやすみなさいといってベッドに横になり、すぐに寝息を立て始めた。
『分からんな、人間というのは』
黒神龍もやがて、眠りへとつく。
シャムの外見についてかけてなかったので若干無理矢理突っ込んでみる。そして、めっちゃ宿の人優しいと思う




