組合せ
アナウンスは告げる。
「村長です。この村からはなんとか危険が去りました。えー、この村の危機を助けた方がいらっしゃりましたらホールまで来てください」
「えっ、いかなくていいよね?」
『ふん、いく必要はないだろう。だいたいお前は存在をつかまれるわけにはいかんだろう?』
「それもそうね。んじゃ行きましょうか」
村から出よう、そう思ったときのこと、
「村を救ってくれた人じゃないか?」
「なんで、シャムなんかと。急いでホールにつれていって宴しようぜ」
「おーい、恩人さーん。シャムなんか忌み子なんか放っておいてこっちに来てくれよー。シャムは村から出ていきやがれ」
「逃げよう...シャムちゃんも一緒に来ない?」
「え...と...いいの?私はみんなから嫌われてるよ?あなたにも不幸が...」
「もう十分な不幸は体験したよ。一緒に行こ?」
『いいのか?そんな面倒事を、やはり貴様は変わっているな』
シャムの手を引き、村の人から逃げるようにして走る。途中で転びそうにはなったが、なんとか村から出ることの出来た二人だった。
既に追いかけてくる人はいない。
「はぁはぁ、どうして?どうして私なんかを助けようだなんて...」
「...なんでだろうね。同情なのかな?いいえ、重なっちゃったのかな?私と」
「私はシャム」
「私はユイ。シャムちゃんは...あいつらが憎くないないの?」
「...憎んでいません。私は村の人たちを憎んでいないよ。ユイは憎んでいるひとがいる」
「うん、そうだね。いるよ、どうしようもなく殺してやりたいやつがいるよ」
あまりの険相にシャムは言葉も出ないのか少しの間黙りこんでしまう。
「...復讐はダメだよ?」
と、今度はユイのほうがその言葉に圧され言葉が出ない。
「...分かった」
もちろん復讐はする。そう思いながらもユイはしぶしぶ合意をする。
「じゃあ、行きましょうか」
こうして、忌み子と恐れられる少女と使えない勇者として王国から裏切られた勇者というなんともいえない組合せが出来たのであった。
なんかこれから書くのが大変になりそう。




