王
国宝級の道具を惜しむことなく、勇者を殺しにいった王がそこにいた。
「国宝級の道具を使うまでもなかったかも知れんな」
座っているのは、きらびやらかに装飾された椅子。誰あったが憧れるようなそんな椅子。
「それにしても、今回の勇者には失望しっぱなしだったな。そうは思わないかね?」
「そうですね。あのつよさは魅力的でしたが、どうも性格などを考えると失望というよりは、残念ですね。それと、あれは国宝級を使うことは正解だったかと」
「ふむ、お主がいうのであればそうなのかも知れぬな」
王と会話しているのは王の切り札ともいえる存在である。
「もう一度勇者を召喚をしてみるとしようか」
「それがよろしいかと。ただし、次は早く隷属の腕輪辺りでもつけて、完全に支配しましょう。今回のようにあんなことされても困りますしね」
「一応念のために、勇者がちゃんと死んだかどうか確認をしておいてくれ」
「既に向かわせております。ところで、魔王との件はいかがなさいましょう」
「魔王との同盟はそのままだ。これからも同じ体制でいく」
「では、そのように。私はこの辺で失礼いたします」
その切り札はそのままと扉を開け、退出する。
「次の勇者のことも考えなくてはな」
そこまで言うと、その先の未来を想像したのか静かに笑う。
ーーーーーーーー
もう一人の王、魔王も王ほどではないが立派な椅子に座っていた。
「それにしても、あの勇者は惜しいなぁ。正直に言って、うちの陣営に加えたいぐらいだったよ」
「そうですか?私にはあんなのはとるに足らない小物にしか見えませんでしたが。特に、あの女の方は使い物にはなりませんね。男の方は、見込みがあると思いましたが」
「ふふふ、龍が封印されているのは知っているだろう?」
「しかし、人ごときに龍の力を使いこなすなどあり得ないのでは?」
「男の方は殆んど使いこなしかけていたよ。女の方は確かに覚醒すらしていなかったけどね」
「な、なら」
「まぁ、僕の直感でしかないからね。あれは、強くなったよ。それも異常な早さで」
魔王の口調は王と話していた時と比べて、少し無邪気な子供のようになっている。
「久しぶりに良いものを見たよ。ただ、嫌な予感も少なからずするんだよねぇ」
「止めてください、魔王さまの予感は意外と当たるんですから。それに始末はちゃんとしたんでしょう?なら、大丈夫です」
「そうだね。あ、そうだ、確認のために誰か送って確かめておいてよ」
「わかりました。それでは失礼します」
そして、退出をしていく。
「さて、本当になにか起きなきゃいいけど」
ぼそり、魔王の独り言は伏線のように、誰にも届くことはなかった。
なんかキャラが崩れてそう




