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23.猫塚へ

 青鬼の涯炎がいえんさんに連れられて、安全らしい場所へとやってきた。

 これから気絶した青鬼2人の体から瘴気を取りのぞく。

 それをするための僕の魔力は……涯炎さんの折れた角を薬にするらしい。


「ではこれより薬を煎じる。時間がかかるが少し待ってくれ」

「もきゅっ。わたがしがたぶん使えるきゅー」

「む……このウサギはそういうこともできるのか?」

「はい、普段は草を食べていろんな術が使えるんです」

「ふむ……では頼んでみるか」


 わたがしは角の匂いをくんくん嗅いでいる。

 草以外でも魔法が使えるのかな。


「たかしくん、これすごいっきゅ。普段のまじっきゅあーの100倍くらい回復するよ!」

「すごいんだね。じゃあこれから青鬼さんを治すから、その後で回復お願いね」

「まかせるもっきゅー」

「じゃあうめぼし、やろう!」

「ぴるっぴー!」


 うめぼしを杖にのせて集中だ。

 わたがしを信じて……僕の魔力の大部分をあげることにする。

 そう……大ピンチを切り抜けたあの時と同じだ。


「うめぼし、僕の妖力を全部をあげる! 限界突破(リミットブレイク)!」

「みなぎるっぴーっ!」

「おお……この輝きは……」


 うめぼしが光り輝き、青鬼の角に向かっていく。

 僕はというと……また倒れそうになっている。


「たかしくん! 真もきゅもまじっきゅあー!」

「わたがし……ありがと……」


 わたがしから出る光が僕を包み込み……体に力がみなぎってきた・

 これが鬼の角の効力か。

 あとはうめぼしにがんばってもらうかな。


「たかしくん、もうちょっと妖力を注いでほしいぴー」

「よーし、まかせて!」


 鬼の角にまとわりついたうめぼしに杖を当てて、魔力を注ぎ込む。

 わたがしから出た光はまだ僕を包んでいて、使うそばから回復する気がする。


「正気に返るぴー! 浄化の炎―!」


 そしてうめぼしの光がおさまっていき……成功したんだろうか?


「たかしくんやったっぴ! 瘴気が消えたの!」

「そっか! うめぼしすごいよ」

「すごいのはたかしくんだぴー」

「ううん、タカシ君もうめぼしもわたがしもすごいよ!」

「うむ。式神との素晴らしい連携だ」


 青鬼は気絶したままだけど、うめぼしがそう言うんだから大丈夫だろう。

 なんだかすごくやり遂げた気分だ。


 その作業をもう1度繰り返し、もう1人の鬼の瘴気も取りのぞく。

 涯炎さんの折れた角はなくなってしまったようだ。


「涯炎さんすみません、角は全部使ってしまったみたいです……」

「いや、構わぬ。成功したのならば、角には変えられぬ価値のある出来事だ」

「そう言ってもらえると……」

「それにしても妖力をすさまじく消費するようだな。里の者全員を治すには他の方法を探さねばならぬな」


 僕とうめぼしが全部の青鬼を治せるかと思ったけど、どうも無理みたいだ。

 いい方法が見つかるといいけど……。

 気絶した青鬼2人は、涯炎さんがなにか術をかけて……やがて目を覚ました。


 そして涯炎さんが2人の鬼に事情を説明し終わり、僕はお礼を言われた。

 正気に返った2人はやはり人が変わったように穏やかだった。

 そして猫塚に行くために協力もしてくれることになった。


「我ら2人で他の鬼を遠ざける。涯炎はその子たちを連れて見つからぬように接近しろ」

「わかった。頼んだぞ」

「お願いします」


 青鬼3人で話し合い、いい感じの作戦を立ててくれた。

 なんとも頼もしい。

 というわけで冒険再開だ!


 早駆けの術である程度まで接近し、あとは草陰に隠れながら進むことになった。

 もっとも隠れるのは僕と沙鬼ちゃんだけで、涯炎さんは堂々と歩いている。

 一応うめぼしは透明になって空から監視もしてくれる。


 時々青鬼にも会うが、涯炎さんが適当に挨拶をしているようだ。

 会うたびに角がないことをバカにされているのはなんとも可哀想だけど……。


 そして……青鬼3人の誘導がうまいのか、問題なく猫塚へとたどり着いた。

 さあ、ここからが本番だ。


「我らはここに他の鬼が近づかぬようにする。どれだけ持つかはわからぬが、用事を済ませよ」

「わかりました。ありがとうございます」


 猫塚は夢で見たのと同じ形だ。

 大きな石の周りにたくさんの石が置かれていて、墓のようにも見える。

 夢に出てきた黒いもやはなかったが……なんとなく空気が重い。


「タカシ君、やっぱりこないだ見た夢はお告げだったんだね。きっとうまくいくよ」

「うん、やってみよう」


 まず呪われた物を探さないといけない。

 たくさん積んである石のどこかに埋まってるんだろうけど……これ動かしていいのだろうか。


「猫さんにもっといろいろ聞いておけばよかったな……。なんとなく墓みたいにも見えるから、勝手に動かしたら怒られそうだよ」

「そうだね……。じゃあ猫さんにもらった毛を吹いてみようか。きっとなにか起こるよ」

「うん、やってみて」


 猫叉さんが困った時に吹けと言ってくれた毛。

 前回は母さんの鼻に入ってくしゃみをするという事件が起きたけど……。

 今回はどうなるだろう?

 沙鬼ちゃんは黒い毛を手に乗せ……ふーっと吹き飛ばした。

 すると……半透明の黒猫が急に現れた。

 黒い毛に飛びつき、嬉しそうにしている。


「にゃおう?」

「わあ。可愛い猫ちゃんが現れたよ」

「この子が助けてくれるのかな」

「にゃうー」


 黒猫は石のひとつに手を乗せ、動かそうとしているようだ。

 でも力が足りなくて動かないみたい。


「これを動かすのかな? 手伝うよ」

「にゃおー」

「もきゅっ」

「にゃおにゃお」

「もきゅもきゅにゃー」


 なんかわたがしが会話を始めた。

 猫とウサギの会話……可愛すぎる。


「たかしくん、今触っているのは動かしてもいいけど、他の石を動かすと大変なことになるらしいもきゅっ」

「そっか、わかったよ。わたがしは猫語もわかるの?」

「うん、なぜか急に話せるようになったの」

「そっかー、わたがしはかしこいね」


 強くなるだけじゃなく、どんどん賢くなっているようだ。

 言われた通り、慎重に石を動かしていこう。


「にゃうー」

「今度はその石を左に動かすもきゅっ」

「こうかな……」


 まるでパズルのようだ。

 これって猫叉さんの毛がなかったら無理だったろうな。

 こういうことは言っておいてほしかった。

 そして……とある石を持ち上げた瞬間、異様な気配が襲ってきた。

 黒いもやに覆われて、そこになにがあるかはわからない。


「これが呪いかな……。ここにいるだけで病気になりそうだよ」

「そうだね……じゃあ始めよう」

「にゃうう……」

「あ、猫ちゃん消えちゃった……」

「ありがとね、猫さん」


 猫はやりきったという顔で地面に伏せ、そのまま消えていった。

 あれは猫叉さんの分身だったんだろうか?

 さて……まずは周りに清めの塩を盛っていく。

 4隅に置けば、囲んだのと同じ効果があるそうだ。


「あ、なんとなく嫌な気が薄れた気がするね」

「うん、ちゃんと効果があるみたいだ。じゃああとは清めの水をかければ……」

「呪イヲ解コウトセン者ハ誰ゾ?」

「えっ?」


 呪いがかかった何かから黒いもやが飛び出してきた。

 それは空中に恐ろしい形をなしていく。


「タカシ君、怖いよ……。これに清めの水をかけたらいいのかな?」

「いや、呪いを半端に消しちゃうと暴走するって聞いたよ。こいつはなんとか倒そう」

「うん……」


 呪いの本体は埋まっている何かにあり、もやは空中だ。

 清めの水でどちらかは消せるかもしれないが、残った方が猫叉さんの大切なものを壊す危険がある。

 なんとかまとめないと……。


「立チ去レ……」

「いやだ……お前は呪いだな。お前を消しに来たんだ」

「小賢シヤ……」


 その黒いもやは空中でゆらゆらと揺れる。

 その下の地面には清めの塩がある。

 どうやらあのせいでうまく動けないようだ。


「沙鬼ちゃん、なにか術を使ってみて。わたがしもお願い」

「うん、水鉄砲の術!」

「わたがしきーっく!」

「あ……すりぬけちゃった」

「もきゅう……」


 飛んでいく水もわたがしもすりぬけた。

 しかも地面に降りたわたがしが気持ち悪そうな顔をしている。

 こういう敵はうめぼしに任せるべきか。


「うめぼし、あいつを燃やして!」

「ぴるっぴー!」

「グググ……」


 うめぼしが降りてきて、赤と青の炎が黒いもやを包む。

 どうやら効いているようだ。


「たかしくん、効いてるけど……僕の力じゃ動きを止めるのが精いっぱいだっぴ……」

「じゃ、じゃあ少しの間お願い。その間になにか考えるよ」

「ぴぃー」

「あとはこの清めの水しか……」


 どうしようか……。

 それが失敗したら最悪の事態……猫叉さんの大事なものが壊れるかもしれない。

 あとは最後の猫叉さんの毛……。

 よし、そっちを使おう。


「沙鬼ちゃん、猫叉さんの最後の毛を使ってみて」

「わかった。やってみるね。……ふーっ……」


 ピンクの毛はふわふわと空を飛び……僕の杖にぴたっとくっついた。

 それだけだ……何も起きない。

 そのまま毛は消えていく……。


「あれれ? どうしちゃたんだろう」

「これまでは不思議なことが起きてたのに……」


 いよいよ手がなくなってしまった。

 最後の手段……母さんを呼びだすを使うしかないのだろうか。

 母さんにかっこいいところを見せるために頼りたくなかったけど……猫叉さんのためにはそれも仕方ないのかな。

 かっこつけてる場合じゃないよね……。

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