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07話




「ギュリリリリィ!」


 突然ハサミムシの鳴き声が変わった。

 ヤバい、考えに没頭してて確認を怠った。


 ハサミムシの顔が真っ赤になっている。

 え、そんなに怒ってるの?


「ギュァアア!」


 全身が総毛立った。

 直感に従ってその場から跳び離れる。


 直後、俺が立っていた場所が炎に包まれた。

 ハサミムシが口から火炎を吐き出したのだ。


 岩が焼け焦げ、染み付いた磯臭さが立ち上る。


 やべぇよ、やべぇよ。

 あれカンペキにモンスターだよ。

 俺の知ってるハサミムシは火を吐かないもん。


「ギチチチ……」


 ハサミムシは俺が避けたことが以外だったのか、首を傾げていた。

 しかし、その目は変わらず俺を捕らえ続けている。


 あぁ、死ぬかと思った。

 命の危機とか初めて過ぎる。

 口から心臓が飛び出そうだ。


 でもな、これで突破口が開けたぞ。

 お前の属性は木でも土でもない。

 口から火を吹いたってことはお前は火属性。

 弱点は水属性だ!


 焦りと思い込みで金か木を取得しなくて良かったぁ……。



“1500DP使用して『水流魔法』を取得しますか?”


 ついでにもう一個だめ押しでイっとこうか!


“500DP使用して『魔法強化』を取得しますか?”


 魔法の威力が上がりそうな『魔法強化』も追加しちゃう!

 両方ともイエスだよ!

 この状況を打開できるなら、なんだってこいやァ!


“『水流魔法』『魔法強化』を取得しました。『魔法強化』を『水流魔法』に使用しますか?”


 なんぞこのインフォメーション?

 まぁいい、出来ることが有るならやっちゃって下さい!


“『魔法強化』は現在1つしか所持していません。本当によろしいですか?”


 オーケー! オーケーだから早く!

 ハサミムシがまた火を吐こうとしてるから早く!


“『水流魔法』の強化が大成功しました!

『水流魔法』は最大強化されて『大海魔法』となりました”


 おぉ、なんかインフォメーションが凄そうなこと言ってる!


 よっしゃ!何が飛び出るか分からないけど『大海魔法』発動!

 俺の体から魔力? が集まり巨大な水の塊をうみだす。


「ギチチ!?」


 ハサミムシは慌てて逃げようとするが、文字通りもう後戻りは出来ない。

 暴れて無理やり侵入しようとしたから、首がつっかえているのだ。


 これなら外しようがない。

 散々ビビらせてくれやがって、仕返しだ、水浸しにしてやるぜ!


「くらえェええ!」


 水の塊を掴んで、ハサミムシに向かってブン投げた。


 ……投げたんだけど。


 おっそ! 遅ッ!


 勢いよく叫んだものの、まったく速度が出ていない。


 ちょっと恥ずかしいわぁ。

 最大強化とか『大海魔法』とか聞こえたから物凄いのを期待してたんだけど……。


「ギチ! ギチチチチチ!」


 ハサミムシさんは慌ててるから溜飲は下がったけど。


 ふんわぁ、とした速度でハサミムシの頭に着弾した水塊は、次の瞬間、莫大な規模の水柱を上げて爆散した。


「どわぁあああ!?」


 その量の殆どが穴の外から出たから良いものの、洞窟側にもかなりの水が逆流してくる。


 ……くそ、びしょびしょじゃねぇか。

 命が助かったんだから余り文句は言いたくないけど、これじゃあんまりだぜ。


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