42話
「そんで、俺の名前が決まった訳ね」
「はいマスター。いえ、今後はしっかり決まった名前でお呼びするべきですね」
会議する最中は覗くなとか言われ、一人寂しく外で狩りをして帰ってきたら俺の名前が決まっていたの巻。
水牢に保存していた“羽妖竜”を配下に投げ渡したら話を聞くとしよう。
ま、何でも良いんだけど。
折角ならポーラが他の配下達と仲良くなれるよう場を持ってやってくれと頼んでいたが、どうなったかね。
「ご主人様……、こちらになります」
おぅ、小綺麗に着飾ったポーラが出てきたぞ。
こんな服あげたっけ?
スバルさん、なんで親指を上にあげてちょっと良い顔してるんだ?
あ、またポーラの為にDP使ったな……。
娘扱いなのか妹扱いなのか分からんが、スバルさんはポーラを可愛がっているようだ。
俺がそれを望んだってのもあるんだろうけど。
ま、最近はDPもかなり余裕があるし、少々の散財ならいいさ。
困窮したらまたモンスター狩れば良いだけだし。
カロンや、最近進化したフォボスなんかも外洋のモンスター積極的に狩ってくれているみたいだしな。
知らないうちにDPがもりもり増えて、おいちゃんは嬉しいよ。
で、俺の名前だ。
ポーラが差し出してくれたのは折り畳んだコピー用紙。
これも勝手に出したのか、スバルさん。
スバルさんこのダンジョンのサブマスター扱いにしているからな。DP使えるのだ。
あんまり使い方が荒いようだったら、上限を設定しよう。
コピー用紙を開くと、そこには流暢な文字で
『ワダツミ・グラコウス』
と書かれていた。
「へぇ、これが俺の名前か。決めたのは誰で、どういう意味だ?」
「……ご、ごめんなさい」
なぜポーラが謝る?
これはもう謝るのが癖になってるんだな。
卑屈というか、怒られないように身を縮めているって感じだな。
やっぱ俺って怖いのかねぇ。
水に写った自分の顔を確認してみたけど、良くも悪くも特徴の無い顔をしていた。怖くはない思うんだけど。
やっぱあれか。
性奴させらていた経験から大人の男が怖いのか。
うむ。やはりまだこちらからも距離を置くべきだな。
「……な、名前は、私が考えさせて頂きました……。私の故郷で、蒼い月と海の神様を表す言葉、です」
「うん。良いんじゃないか? 気に入ったよ」
「……あ、ありがとうございます」
うん、若干表情に明るさが出たかな?
スバルさんグッジョブ!
では俺は今からワダツミ・グラコウスと名乗らせていただこう。
『名付け』を自分自身に使用し、DPを30000ほど注ぎ込む。
まぁ俺に一番注ぎ込んじゃって良いじゃない。
大体が俺の狩りで稼いだDPなんだし。
“名称:名無し のダンジョンマスターの名前を『ワダツミ・グラコウス』に設定します。宜しいですか?”
はいはい、サクッとやっちゃて下さい。
“ダンジョンマスターの名前を『ワダツミ・グラコウス』に変更致しました。『名付け』の効果により能力の更新が行われます”
“『名付け』によりダンジョンマスターの能力が覚醒しました。ステータスを御確認下さい”
“『ダンジョンマスター目覚め』の実績を達成しました
100000DP獲得しました”
じゅうま……ッ!?
マジかよ初期にさっさとやっておくべきだったわ。
まぁ、今さら悔やんでも遅いんだが。
そういやしばらくステータス見てなかったな。
今どんな感じなんだろ?
《ステータス》
名前:ワダツミ・グラコウス
レベル 21
職業:ダンジョンマスター
HP:3100
MP:8000
SP:3100
攻撃力:3100
防御力:3100
素早さ:3100
スキル
『ダンジョン操作(中級)』New !
『配下モンスター覚醒』New !
『大海洋魔法』New !
称号
『新米ダンジョンマスター』
『放浪のマスター』
『魔物処刑人』New !
『魔人統率者』New !
『孤島の主』
『DP富豪』New !
『水仙人』New !
所持DP:332480
うわぁお、DPこんな溜まってたんだ。
もっと気軽に使えばよかったな。
うん、それどころじゃねぇ。
なんじゃステータスは!?
そういや覚醒したって言ってたな、このステータスの壊れっぷりはその覚醒とやらの効果か!
と、なると『配下モンスター進化』から変化した『配下モンスター覚醒』というのも同じ効果が期待できるということ……!
え、このダンジョンまだオープンしてないんだよね?
あと何日残ってるんだっけ?
ブルーサハギン達に掘らせていた洞窟の横穴は既に蟻の巣のような迷路になっているし、コアルームまで一直線だった海蝕洞窟もDPの不思議パワーで拡張、階層化、罠多量の立派なダンジョンと成り果てている。
何よりキツいのが外の海。海上のダンジョン領域だけどね。
小島のようなサイズの要塞ガニ達が要所を監視し、本島の周囲にはサルガッソが群生している。
ダンジョン領域となった海上には、二枚貝族から進化したシン達が吐く幻惑効果のある霧が漂い、更にブルーサハギンの精鋭、ドルフィンライダー達が海域の全てを巡回し、どんな情報も逃さず連絡ているのだ。
最近進化したレッドギルマン達は炎に耐性があり、陸地での活動にも適しているので、現在島の調査を中心として活動してもらっている。
なんか、出来ることが増えすぎて、逆に混乱しそうだな……。
出来れば、挑戦者の一人でも来てくれれば良いサンプルになるんだけど……。




