34話
カロンから取り敢えずその人間を預かる。
優秀な部下はまた直ぐに巡回に戻ると行ってしまった。
もしも生きている人間がまだ居たら持ってくるように伝えておく。
死んだのはいらん。
DPにもならんし。
何より、見てしまったら最後まで責任を持たなくてはいけなくなってしまう。
知らない人間の墓を作って一日を終えるなんて嫌だぞ俺は。
しかし、なんだコイツは?
まぁ見た感じは女の子だな。
来ているものは服と言えるのかどうか怪しいぼろ切れ、腕には木製の枷。
うーん、これは奴隷って奴か……。
ダンジョンものの話ではある意味テンプレであるが、実際目の前にすると対処に困るな……。
髪の毛は白。その合間に丸っこいケモミミが見える。
Oh...
本物のケモミミ様じゃあ!
これが、ファンタジーの本気か……。
胸は……、ふにふにしている。うん、女の子で間違いない。
これは大事な確認だからね。海水に濡れた服を着替えさせてあげようとして脱がしたら女の子だった!? どっひぇー! というイベントを回避する為に必要なことなのだ。
しかし、なんでこんな所にケモミミ奴隷が落ちてたんだ?
昨日までの嵐で乗っていた船が沈没したとか?
それが一番妥当な答えだな。
何故こんな海の彼方まで船を出していたか気になる所だが。
枷を嵌められた奴隷がいるってことは奴隷商船だったのかね?
俺のダンジョンに来たというのは、多分無いだろう。
まだオープンしていないし。奴隷を引き連れて来るもんでも無いだろう。
いや、罠避けとかに使うのか?
とにかく、まずはこの子の治療? をしなきゃな。
体を温めて安静にさせてればいいのか?
困った時のコアぺディア先生に頼るしかないな。
「人間ですか、困りますね。もう一回捨てて来させましょう」
「いやいやいや、流石にそれはちょっと……」
バッサリ切り捨てて、マジで捨てようとするコアぺディア先生。
その目は人間に対して全く興味を持っていない目です。
おっそろしいわ。
コアさんは外見が人間っぽくなってもダンジョンコアなんだよな。
ダンジョンコアにとって人間って?
ただの食糧です、本当にありがとうございました。
だが俺は人間だからなぁ、流石にこのケモミミ少女をこのまま文字通り水に流すのは勘弁願いたい。
てゆうか、カロン達にまだ生きている人間がいたら拾ってこいって言っちゃったよ。
コアさん怒るかな……?
ま、なんとかなんべ。
「ですがオープンしていないダンジョンに人を招くのは基本的にルール違反です。希にルールを無視する侵略者もいますが……、この人間はそうではないと言い切れないのですよ?」
「こんな所に来る以上、なんか理由があるんだろ。それを聞いてからでも遅くないって」
「マスター、世話をすれば情が湧きます。最後まで面倒を見る気が無いのなら……」
「おぉおいッ! 犬や猫じゃないんだから!」
驚いたわ。何てことを言うんだこのダンジョンコアは。
いや、コアさんからしたら人間も動物もモンスターも変わらないんだから、当たり前、なのか?
だが最後まで面倒を見る気は無い!
断言できる!
以前の俺はきっと飼っていた生き物を捨てて生態系を狂わすタイプの人間だったろう!
冗談はさておいて、実際最後まで面倒を見る必要はないだろ。
どんなに遅くても、ダンジョンがオープンすれば攻略のためにやってくる人間がいるんだから、そいつに預ければいい。
そうすれば一年もしない内にオサラバできるという寸法よ。
それくらいなら、一人分の消費DP量が増えても何の問題もないしね。




