29話
エウロパ達オクトリッドには周囲の素材採取とその活用方法の発見を指示した。オクトリッドは全員で五人なので、一度に多くのことが出来ないのがネックだな。
カロン達ブルーサハギンには十人づつでチームに分かれ、狩猟チーム、訓練チーム、建設チームで働いてもらった。
特に訓練チームには頑張ってもらいたい。
彼らはダンジョンの仲間たちのレベル上げを頼んでいる。
レッドフィッシュやアーマーキャンサー、ミラージュクラムなど、まだまだ下位クラスのモンスターは多いのだ。
不思議なことに、意思疏通がまったく出来なさそうな要塞ガニやサルガッソにも指示できることが分かった。
といっても余り複雑な指示は出来ないが。
彼らにも『名付け』を行えば知恵が生まれるのだろうか?
現在のDPは4950ポイント。
出来ればダンジョン拡張に全部注ぎ込みたいので、『名付け』はしばらくお預けだ。
ちなみに、筋の多いドラゴン肉に悪戦苦闘していたコアさんは、俺が勝手に『名付け』を行ったことがいたくご不満なようだった。
DPを『名付け』に使ったことは良いが、なぜ私を待ってくれなかったのか、『名付け』といえば配下やダンジョンにとっては一大イベントなのに、何故あっさりやってしまったのか。
あんまりしつこいので、今度またドラゴンに挑戦してくると約束することで許して貰った。
出来れば二度と戦いたくないが、俺も配下も強くなったのだから、次はもっと善戦出来るだろう。
それに、挑戦するって言っただけだからね。狩ってくることまでは約束してないのよ。おほほほ。
「そういえば、あのドラゴンだけど、泉の水を汲んだら襲ってきたんだよね。コアさん、なんか心当たりある?」
「泉の水、ですか……? 今それを持っていますか?」
うぉ、その首こてんってするやつ可愛いね!
もう一回! もう一回やろう!
あ、嘘です冗談ですごめんなさい真面目にやりますでも可愛いと思ったのも真面目で痛たたたたたた。
コアさんは擬人化してもダンジョンコアなので、マスターである俺とは思考が繋がっている。
コアの形の時よりかは繋がりが弱いそうだが、それでも強い思念ははっきりと聞こえるそうだ。
なのでコアさん可愛いと脳内で叫べば照れたコアさんが照れ隠しに俺の太股の皮を捻り上げることになる訳で痛ァアアアアア!
「真面目にやらないなら協力しませんが?」
「済まんこってすたい。この水筒に例の泉の水が入ってるのよ」
「そうですか、では失礼して……」
コアさんが俺の水筒に口付けて水を飲み始めた。
水を取り込んで解析してるんだろうけど、なんかその仕草が、その、エロい。
そそ、それに、間接チッスですよコアさん、気にしないの?
「問題ありません。この水ですが、『魔冷泉』の水ですね」
「『魔冷泉』……、知ってるのかコアさん!?」
「知っていますが……、何ですか、そのリアクションは」
「あ、いや良いんだ。俺の自己満足だから」
「『魔冷泉』とは魔力を多く含む水が湧き出る泉です。これほど魔力の含有量が多い魔冷泉がこの島にあるとは驚きです」
「ふーん、じゃあドラゴンはそれを独り占めしようと襲ってきたんだね」
なんと心の狭いドラゴンだよ。
あんなに大きな泉なんだから皆で分け合えばいいだろうに。
水が湧いてるんだから枯れることもそうそう有るまい。
「魔冷泉はその特徴から強力な魔物が支配下に置くことが多いのです。ドラゴンが死んだのですから、今頃は別の魔物が手に入れてしまっているでしょう」
なぁにぃ?
また独り占め野郎が来ているってか?
そいつはメチャ許せんよなぁあ。
しかも俺が苦労してドラゴンを倒した成果を横からかっ拐っていった訳なんだよな?
よし決めた。
次はその魔物を狩ろう。
そして魔冷泉は我がダンジョンで管理しようじゃないか。
「マスター、それは独り占めと変わりませんよ」
「おぅおぅ、コアさん、馬鹿を言ってはいけない。魔冷泉はダンジョンの皆で分け合うよ。な? 独り占めじゃないだろ?」
「マスターがそう言うのであれば、そうなのでしょう。マスターの中では」
何故コアさんがその返しを知っているのだ!?




