15話
一日ぶりの外です。
そーっと辺りを見回していますが、ハサミムシの姿は無し。
どうやら安全そうかな。
まだ二日目だから当然っちゃあ当然だけども、この島の生態系とか全然知らないのよね。
コアさんの知識も偏っているところがあるしなぁ。
取り敢えず得たいの知れない果物や山菜的なものを片っ端から集めていこう。
コアさんに吸収させて情報解析してもらえば食える食えないが分かるだろう。
食えると分かったところで、食欲が失せるような外見と色合いの魔境のフルーツ達を食う勇気が湧くかどうかが問題だけど。
異世界のフルーツは見かけと味が一致しないことがテンプレだから。
慣れるまでは我慢だな。
目についたフルーツやら野菜っぽいやらをポケット突っ込む。
アイテムボックスとか無いのかね。DPで交換出来そうだけども。
“アイテムボックスは一番容量の少ないもので1000DPからになります”
マジか、まったく足りないな。
ダンジョン拡張してDPの供給を安定化させるのが第一だったけども、アイテムボックスみたいな備品を充実させるのも大事だ。
DPを稼いだら、そこら辺もしっかりやっておこう。
さて、フルーツ採取したし、後はなんか適当なモンスターを引っ張って来られればいいんだけど……。
森の奥に入るのは躊躇われるなぁ。
ハサミムシが出るかもしれないし、ハサミムシ以上に強いモンスターだって出るかもしれない。
あのハサミムシがこの島で一番強いモンスターな訳ないしな。
今の俺ではハサミムシレベルのモンスター相手では撃退が精一杯。
出来るなら安定して狩れるモンスターを発見したいもんだ。
弱くて数が多いのが良いね。ゴブリン的な奴。
『大海魔法』でバーッと流してしまえば一掃できそうだし。
まぁ居るとして森の中なんだろうけど。
うぇへぇ、入りたくない。
DP稼ぐのは大事だけど命はもっと大事です。
どうにかして上手くモンスターを誘い出せないもんか……。
これは俺一人じゃ無理だな。
囮役、もしくは警戒役の配下を召喚して安全マージンを取ろう。
ヘタれている自覚はあるけど、いや本当安全が一番ですって。
洞窟に戻ろう。
野良モンスターホイホイを仕掛けたんだから、しばらくはそこで様子を見ようじゃないか。
まだ慌てるような時間じゃない。
359日しか無いと考えるのではなく359日もあるのだと考えれば心にも余裕ができて良い発想が出てくるってものさ。
“それで帰ってきたんですか”
「はい……」
少し呆れたようなコアさんがお出迎えしてくれました。
うん、DP稼いでくるぜって啖呵切って出ていってすぐ帰ってきたからね、ヘタれっぷりが凄まじいよね、済みません。
だって怖いんじゃあ!
巨大ハサミムシとかトラウマになってるんじゃあ!
またデカい昆虫に襲われたら失禁するわ!
もう駄目だぁおしまいだぁ……。
“マスター、貴方は自分を低く見ていますが、自分で思うほど弱くありませんよ。『大海魔法』があるじゃないですか”
「でも、ハサミムシには通用しなかったじゃないか」
“テイルシザーズは土属性ですので、水属性の『大海魔法』は相性がよくありません。土は水を塞き止めるものですから”
ん?
んん?
ハサミムシ、テイルシザーズとやらは土属性なの?
火を吹いたからてっきり火属性かと思って水属性を取ったんだけど……。
“テイルシザーズの火の息は体内の可燃性ガスを噴射するものなので、属性に依らない攻撃になります”
コアさん……、何度も言うけどさ……。
事前に教えてよ……。