14話
コアさんがちょろっと言ってたけど、ダンジョンというのは神様とか世界とか、そんな感じの上位者が知性ある生き物に科す試練という側面があるらしい。
レベルアップを推奨している世界なんだね。
だから、ダンジョンがオープンすることは各国、各集落に神様が無料配布したアイテムを通じて知らされるんだってさ。
傾向やクリア推奨レベル、内部構造なんかは当然秘匿されるけど、所在地に関してはモロバレするそうです。
残り359日で。
本当、そういうことは早く教えて欲しい。
このまま野良モンスターを相手に細々とやっていこうと思ってたのに、人間、その他の知的生命が攻めてくることが確定とかマジ勘弁。
準備期間は残り一年をとっくに切っている訳ですが、まったく、どうダンジョンを強化していこうかね。
とりあえずDPは稼がなくてはいけない。これは決定済みだ。
ダンジョンを強化しようと思ったらいくらDPが有っても足りない。
今後は島の周囲を囲うようにダンジョン化を進めて行きたいと思っていたから、モンスター召喚や強化にあまりDPを割いていられないな。
小魚たちは、ダンジョンモンスターの餌兼野良モンスターをおびき寄せる囮兼今後強くなってもらう強化要員として頑張って貰おう。
さしあたって俺がやらなくてはならないことは、DP稼ぎです。
俺が実積達成や称号獲得で増やすのが一番手っ取り早いが、それに頼るのは危険だ。
後々必ず行き詰まる。
なので実積や称号を狙いつつ、メインとしては野良モンスターを狩っていこうと思います。
半殺しにしてダンジョンに引き摺ってきて仕留めればDP入るべ。
ハサミムシを撃退しただけでも結構なDP獲得したからね、討伐ポイントには期待できる。
さて、天井の扉を開けて島のモンスターを狩りにいくか、海のモンスターがホイホイ洞窟に入ってくるのを待つか、どっちにするか……。
「そういえば、コアさんに戦闘能力ってあるの?」
“ありません。強いて言うならばダンジョン内のモンスターに指示を出したり罠を作動させたりといった所でしょうか”
「人型になれたりしない?」
“コア擬人化に必要なDPが不足しています”
「何DP必要なのよ?」
“5000DPです”
んー、コアさん擬人化はまだ無理か。
自分で動けるようになったり、自衛できるようになれば可能性が広がると思ったんだけど……。
罠は発動できるらしいから、コアさんの防衛用に罠を設置しとくか。
以前ハサミムシに仕掛けようとした『飛び出すトゲ』が100DPで設置できるから、洞窟の通路に2つ、コアさんの前に
1つ設置しておこう。
これで少しは防衛出来るだろ。
これで残りDPは240ポイント。
さぁ、稼がなきゃな。
「コアさん、俺はまたちょっと上に行ってくる。DP稼ぐ為にモンスターをボコッてくるわ。もしも海のモンスターが侵入してきたら罠で撃退しといてくれ」
“了解しました”
「危なかったらすぐに呼んで。ダンジョンマスターとはいつでも交信できるだろ?」
“はい。マスターも無理はしないで下さい。コアかマスターが壊れれば、もう一方も壊れてしまいますから”
……また貴方はどうしてそう大切なことをぽろっと言うかね。
俺とコアさんってそれほどまでに運命共同体だったのか。
他になんか重要そうなこと言い忘れてないかい?
“島はダンジョンではありませんので、ダンジョンマスターの能力が使用できません。ダンジョン内の転移やダンジョン操作などです”
ほうほう、まぁそこら辺は使わないかな。交信さえ出来ればいいや。
“侵入者をダンジョンの餌とし、DPに変換する際、相手のレベル、種としての強さ、状態などが評価されてDPとなります。あまり弱らせてから仕留めてもDPは大きく増えません。気を付けて下さい”
ヌルゲーは認めないということか。
了解、なんとか頑張ってみよう。
じゃ、行ってきますんで、その間のダンジョン防衛、宜しくね。
“はい。行ってらっしゃいませ”