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10話



 俺が不用意に開けた天井の穴をしっかり塞いだところで、我々――俺とコアさん――はついにあの問題に着手しなければなりません。

 分かりますねコアさん?


“現在このダンジョンはダンジョンとして機能しておりません。理由としてはコアルームしか存在していないこと、ダンジョンを警備する存在がいないことが挙げられます”


 うむ。そうなのだよコアさん。

 このダンジョンとは名ばかり磯臭い洞窟は、狭く、モンスターもいないのです。


 洞窟といっても、ここは入り口が海に面した断崖絶壁にあり、運河のような通路が一本だけ、その先にこのコアルームがあるだけなのだ。


 小学生がふざけて描いたスタートとゴールしかない迷路みたいなもの。

 小学生ィ、それ迷路やない、ただ直線や……。


 で、ダンジョンというのはその内部、あるいは範囲内に魔力を持った生物が侵入していなければならない。

 侵入者から漏れる魔力や、ダンジョン内で落とした命がそのままダンジョンの食事、エネルギーになるからだ。


 つまり、現在の入ってこれるのは魚だけみたいな状況はダンジョンからすればまったく有り難くない状況なのです。


 ダンジョンがオープンするまでの一年近くは飲まず食わずでも耐えられるでしょうとコアさんは言うけど、それって不健康じゃないか。


 コアさんも耐えているだけで、辛いは辛いんだろうし。


 せっかく異世界に来てダンジョンマスターやるってんだから、ダンジョンの為になることをしないとね。


 なので先ずはダンジョンの範囲を拡げましょう。


 前に説明を受けたけども、ダンジョンは洞窟型と範囲型がある。

 ここは一応洞窟型みたいだけども、それではやっていけないので、範囲型ダンジョンになるように方向転換していきましょう。


 範囲型ダンジョンは成長し辛いらしいけど、それについてはちょっと考えもあるしね。


“では範囲を選択してください。規模に応じて必要DPが増えますのでご注意下さい”


 コアさんが島の風景を映してくれた。

 何度みても奇妙な密林だな。

 あ、ハサミムシが動いてる。恐ぇ。なんだよピンピンしてんじゃないかよ。俺(の部屋)が犠牲になったというのに、くそぉ、割に合わんぞ。いつか絶対倒してダンジョンのご飯にしてくれるわ。


 そういやコアさん勘違いしてるな。

 俺、この島をダンジョンにするなんて一言も言ってないぞ。


「コアさん、映す場所が違うよ、島の周囲を映してくんない?」


“それでは範囲が広くなりすぎてしまいます。DPが足りません”


「あぁ、違う違う。島は覆わなくて良いんだ。コアさんを中心にダンジョン化するんじゃなくて、この洞窟から伸びるように、島の周囲の海だけに出来ない?」


 コアさんは一瞬言葉に詰まったかの様だった。

 まぁ、範囲型ダンジョンってその中心にコアがある場合が想像しやすいもんね。

 俺が言ってるのは範囲型ダンジョンにしつつ、その範囲を洞窟型のように変えられないか、ということだものさ。


 通常それはまったく意味がない。

 範囲型が洞窟型の真似をしても効率が悪いだけなのだから。そんなことをするなら全方位に範囲を拡げた方がより多くの餌が手に入る。

 逆もまた然り。洞窟型が範囲型の真似をする利点は殆ど無い。


 だけど、ウチって立地条件がもう普通じゃないのよ。

 人間のお客様はまったく期待できないからね。

 野生のモンスターに期待するしかない。

 なので頭上を闊歩していらっしゃるモンスターには常にお客様でいて欲しいのだ。


 ダンジョン範囲に長時間滞在したモンスターは、その内ダンジョンモンスター化してしまらしい。

 体内にある魔力を貯める為の臓器が、ダンジョンコアの放つ魔力に影響されてしまうんだと。人間には無いのかね?

 攻略本に書いてあったので、きっとそうなんだろう。

 事実は分からん。確かめたこと無いし。


 つまり、短期的には島のダンジョン化はDPガッポガッポで嬉しいが、長期的に見ると不味いのだ。


 短い間だけ島をダンジョン化することも考えたが、魔物のダンジョンモンスター化がどのように進行するか分からない以上は、危険な手は打ちたくない。


「そういう訳なんだけど、出来る?」


“不可能ではありません”


 納得はしてないって感じだな

 まぁいいけど。


 変なダンジョンマスター抱えたのが運の尽きと思って協力してくれたまえ、ハッハッハ。



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